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「殺したのか?」
「うん。生け捕りにして情報を引き出そうとしても無駄だからね。何しろ奥歯に仕込んだ毒薬の味が大好きでたまらない連中なんだ」
彼らはしばらく話し込んだあと、思い出したかのように私の方を向いた。
「あ、忘れてた。こちら、Aちゃん。可愛いでしょう?この子は御伽の国からやってきた白雪姫さ。」
「そうか。それは確かガラスの靴の…?」
「織田作前もその間違えしなかったっけ?」
「そうだったか、あまり覚えていないな」
「この子はねえ、ポートマフィアのNo.2なのだよ。」
「そうですよ。私治さんの上司のはずなのに忘れられてましたからね」
「御免よ〜?」
「許さん」
「ええ〜!」
「太宰!!」
そこに居たのは、先程殺めたはずの襲撃者がいた。
「動クナ……」
襲撃者がくぐもった声で言った。
襲撃者は右手で拳銃を抱えており左手は動かない。一人で立つ力はないらしく、壁に半分体重を預けていた。
だが危ないことには代わりはない。
「おやおや」
襲撃者は恐らく治さんを道連れにするつもりだ。
「太宰、じっとしてろ。俺がなんとかする。」
私は襲撃者を殺そうとはしない。
治さんの命が今は大切だ。
まあ、たまたま襲撃者が亡くなるなんてことがあれば幸運かなと思う。
「君たちの名前は【ミミック】だ。そうだろう?」
私は襲撃者を観察する。
さっき銃を扱っていたのは左手だから利き手は左手か…?
否、靴紐の結び方を見ると右手…。
襲撃者は両利きか。
「太宰、よせ」
治さんは襲撃者が両利きだという事に気づいていないようだ。
もし、このままハッタリを続けて撃たれてしまったら…!
胸の中にあった心が握りつぶされて、甘い蜜がこぼれてきそうだ
あれ、嘘、私…
襲撃者が唇を噛む。指に力を入れる。
織田作之助も銃を構えたが、弾切れだったようで額から汗が吹き出ていた。
閃光が路地にきらめいた。
至近距離から額を撃たれた太宰は大きくのけぞった。
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作者名:あさ x他1人 | 作成日時:2019年12月31日 23時