5つの宝石と12の物語Ⅲ -for lertle- (ページ6)

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＊襲来＊ページ6

「……っ!!」

影を目の端に止めると、アクトは剣に思いっきり気を流し込んだ。

魔法剣の輝きが増す。

「アクトっ！」

急接近してきた影に注意を呼びかけるグレイの叫ぶ声がどこか遠くに聞こえた。

深く集中していることを自身で感じながら、アクトは深く息を吐く。

そして影だけを見つめる。

剣の温かみを掌で感じ、アクトは跳んだ。

「っりゃ！」

思いっきり剣を振り下ろす。が、

ｷﾝｯ

鋭く高い音とともに剣ははじかれた。

全体重を乗せた一撃をはじかれ、アクトはどうと転がった。

危うく背中から一気に落ちる、というところで器用にからだをひねる。

動けなくなるような衝撃は避けられたものの、結構な衝撃が体を襲う。

「アクト！」

「俺は大丈夫だ」

グレイの声に何とか答え、剣をつかもうと手を伸ばす。

影がものすごいスピードで移動しているのを見止め、１つ舌打ちをする。

「グレイ！次の1打は俺が止める！その隙に奴の弱点を探してくれ！」

叫び終わると同時に剣が指先に触れた。

ぐっと握りしめ、力を込めて立ちあがる。

「炎(ブロム)！」

初級魔法である火の玉。

アクトはそれを掌に載せ、思いっきり地をけった。

砂漠のさらさらした砂が月にかかり、きらきらと輝く。

そして掌にのせた炎をそっと上に抛って……

影……

堅そうな甲羅に6本のかぎづめがついているモンスターのかぎづめによる一撃を受け止めた。

炎は影の姿を………そして弱点になりうるものをくっきりと映し出していた。

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+*-アクト君の独り言-*+

「なあなあ、俺ってさ……別に一撃受ける必要なかったんじゃね!?

　炎(ブロム)投げたらよかったんじゃね!?」

「………いや、そんなことはない、アクトのあの受けで、俺は攻撃を組み立てられた」

「その間は何だよグレイ。」

「………ああ、ヴァシリーに連絡しなくては」

「………さっきの言葉、信じるから!!!!」