5つの宝石と12の物語Ⅲ -for lertle- (ページ15)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:9,860 hit

＊打開策＊ページ15

「アクト！」

グレイの声にアクトは小さく首をまわしてグレイを視界に入れる。

グレイはそれを確認すると、剣を大きく抜き放った。

「アクト！皇帝から預かった剣を使え！早く！」

その叫びに呼応するようにアクトの持つヴィーの剣が鈍く輝き始めた。

もう暗くなった砂漠にぼうっと光が現れる。

アクトは魔法剣を砂の上に置くと、ヴィーの剣を両手で握りしめた。

ドラゴンと目を合わせ、大きく息を吐く。

「いいか、アクト。よく聞け」

グレイの声が細くアクトの耳へはいってくる。

「砂の上では下半身に力を蓄えることができない。だから勝負は一発。跳べ。後ろからだ。

　俺がひきつける」

グレイは言い終えると、剣を逆手で持った。

そしてドラゴンに向かって走りだす。

剣で頭突きを流し、額を剣の柄で打つ。

「行けっ！」

アクトはその声と同時にとんだ。

程度の低い空中浮遊魔法を使い高くまで浮き上がると、一気に解除。

上空から落ちる。剣を真下に向け、ドラゴンの背をめがけて突き刺す。

突き刺さる。その瞬間。

「さすがにドラゴンを殺すのは反則よ、少年」

ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ

「雷っ！？」

雷鳴とともに光がアクトめがけてはしる。

「アクトっ！」

グレイのさけびも虚しく空中にとどまった。

アクトが雷にのまれ、一瞬にして見えなくなる。

呆然とするグレイをあざ笑うかのようにもう１つの雷が現れた。

それはまっすぐにグレイに向かってくる。

光に目がくらむ中、視界の端には１人の女が映る。

にこやかに綿う口元に手を伸ばすも届くわけがない。

「雷撃(ライオ)」

赤く燃える砂漠にブラックドラゴンは背を向けた。

その目は何色だったのだろうか。

０００００００００００
やっと敵出た！

やっと！最初から設定してあったのにやっと！