犬も食わない男の嫉妬【イゾウ】 ページ4
「お嬢、ちょいといいかい？」
『……その“お嬢”言うん、嫌や言うてますやろ？イゾウ隊長』
「俺も“隊長”は辞めろって何度も言ってるがねぇ」
『あんさん隊長なんやからしゃあないですやろ』
「ならお前さんもお嬢なんだから仕方ねぇなぁ？」
『もう好きにしとおくれやす』
もう定番になってしまったイゾウ隊長とのやり取り
小さい頃は“兄者”と呼んで懐いてたけど、この歳になってまで“お嬢”と呼ばれるんは恥ずかしい言うてるのに、この人は面白がってこの呼び方を突き通す
同じワノ国出身やからか、ウチの喋り言葉をちゃんと理解出来るからか、はたまた同じ得物を扱うからか……同じ隊を宛てがわれてからはそれはもう四六時中この調子や
『それで？なんの用ですん？』
「明日の宴、うちの隊が取り仕切るだろ？お前さん久しぶりに“舞”を披露しちゃくれねぇか？」
『あら、またどういった風の吹き回しで？』
「毎回変わり映えのない宴に花を添えちゃどうかと思ってな……ってのは建前だ、俺がお嬢の舞を肴に飲みてぇだけだ」
『たまにはぇえこと言わはる思たのに……まぁよろしおす、久しぶりに嗜ませて頂きましょか』
「嬉しいねぇ！なら俺も久しぶりに三味線を弾くか」
『え！？よろしおすんか！？ウチ、イゾウ隊長の弾く音が一等好きや！それに合わせてやらせて貰えるやなんて嬉しいわぁ！』
「そう言われちゃ俺も腹ァ据えようかねぇ、演目はどうする？」
『そうですねぇ……共演するのは敦盛、その後ウチが1人で羽根の禿をやりましょか』
「羽根の禿か……懐かしいなぁ」
『練習時間もおまへんし、一番最初に覚えた舞踊やさかい身体に染み付いておま、兄者とお稽古しとったんが懐かしいですなぁ』
「お前さんに兄者と呼ばれるのも久しいなぁ……」
『…………最高の酒の肴にしますよって、楽しみにしておくれやす』
嬉しさのあまり、思わず“兄者”と呼んでしまったことの恥じらいを隠すようにウチはいそいそと部屋に戻った
ホンマにいつぶりか分からへん舞の披露に緊張半分、嬉しさ半分で一張羅の打ち掛けと簪を広げた
この2つはワノ国を出る時に持ってきた代物で、それぞれに大切な思い出が詰まったウチの宝物……
『……せやなぁ、どうせやったら華やかにいこか』
これを着た姿を母上に見せれんのは残念やけど、ちゃんと似合う女になれてるやろか？
to be continued……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 187人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しゃらん。(プロフ) - コメントありがとうございます！！短編の方が中々更新できてなくて……でも好きだと言っていただきめちゃくちゃ嬉しいです！！またサッチでも書きますね！！これからもよろしくお願いします！！ (2022年7月3日 8時) (
レス) id: b3a781ffa5 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - この短編種本当に好きだけど、サッチが出てくるとは思ってなくて、心の準備してなかったから普通に死にそうっす、更新とサッチの書いてくれてありがとうございます！ (2022年7月3日 4時) (レス) @page40 id: 95a1685357 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しゃらん。 | 作成日時：2022年4月22日 15時
