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服を着替え、ワインとサッチの作ったアテを持ってきたのはモビーの船首
そこには月明かりに照らされて1人酒を煽るAの姿があった
「……ひとり酒はもう済んだろい？」
『……こっち来んな、朝から出ずっぱり何だからさっさと寝れば』
「段取り付けて非番にしたんだよい、言うの忘れて悪かった」
『……何それ、本当そういうとこ』
「サッチとエースにも言われたよい」
『……ウィスキーならもう空けたよ』
「丁度いいよい、別のを持ってきた」
無言を肯定ととってAの横に腰をおろす
ワイン栓を抜いてグラスに注いでいると夜風の中に嗅ぎなれた匂いを感じた
「……お前、香水なんか付けてたかい？」
『アンタが気付いてないだけでずっと使ってる、アンタと一緒のムスクよ』
「そりゃ気付かねぇはずだよい、ほら」
『ん……アタシが選んだのと同じワインだわ』
「お前と一緒に初めて飲んだワインだろ？」
『……ちゃんと覚えてるじゃない』
「お前との思い出は1つも忘れちゃいねぇよい、10年経ったてな」
『……本当に、そういうとこだよ』
そう言ってさっきと同じ酒の回った目をしてワインに口を付けるAはより一層妖艶だ
こんないい女が居るってのに、他の女に目移りなんかするわけがねぇだろい
『ふぅ……やっぱりワインが一番好き』
「妬けること言うなよい」
『クスッ……馬鹿ね、もう酔ってるの？』
「あぁ、Aに酔ってるよい」
『きっとムスクの香りのせいよ』
「んなもんなくても、俺はAにしか酔わねぇよい」
『なら、もっとアタシを酔わせて？そしたらアタシがマルコを酔い潰れるまで酔わせてあげる』
「そいつぁ楽しみだねい」
どちらともなく触れ合う唇
隙間から盛れる吐息とワインの香りで本当に酔っちまいそうになったのは言うまでもねぇ
名残惜しいと思いながらも離れる唇から視線をあげると、潤んだ瞳に俺の顔が映り込む
『これ空けたら部屋で飲まない？アタシの部屋にもう1本取ってあるから』
「まだ飲めんのかよい」
『マルコじゃなきゃアタシも酔わないからね』
「Aにゃ本当、適わねぇよい」
もう一度乾杯をして、2人で飲みながら何でもねぇ話をする
また来年とやって来るややこしい記念日は、また一段と美味いワインが飲めるだろうと思いながら
(やっぱり部屋のワインは寝かせとこうかな)
(何でだよい)
(また来年のお楽しみってことで)
(それも悪くねぇかもな)
end．
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しゃらん。(プロフ) - コメントありがとうございます！！短編の方が中々更新できてなくて……でも好きだと言っていただきめちゃくちゃ嬉しいです！！またサッチでも書きますね！！これからもよろしくお願いします！！ (2022年7月3日 8時) (
レス) id: b3a781ffa5 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - この短編種本当に好きだけど、サッチが出てくるとは思ってなくて、心の準備してなかったから普通に死にそうっす、更新とサッチの書いてくれてありがとうございます！ (2022年7月3日 4時) (レス) @page40 id: 95a1685357 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゃらん。 | 作成日時：2022年4月22日 15時
