･ ページ3
行く宛てもなくトボトボと泣きべそをかきながら歩いていると、道すがらに会ったのはお蝶の姉御
兄弟の居ないあっしにとってお蝶の姉御や弥太っぺを始めとする各郷の親分衆達は本物の兄や姉のような存在で、いつでもあっしを可愛がってくれる大好きな人達だ
「親分と？また何で」
『あっしはワノ国一の芸妓になりんす、なのにクソ親父が座敷に上げさせねぇなんて言うもんだから……諦めねぇなら敷居を跨ぐなと言われんした……』
「なるほどねぇ……親分もお嬢が可愛くて仕方ないのさ、今日は一緒に鈴後に来るかい？姐さんにはあちきが言っておいてやるよ」
『……母様に口添えしてくれるのなら、今日だけと言わず、しばらく世話になってもいいでありんすか？』
「鈴後は九里から離れていることだ、滅多なことはないだろうから気の済むまで居るといい」
『……ありがとうございんす』
そう言ってこっそりと荷物も持って来てくれたお蝶の姉御と手を繋いで鈴後の里道を歩いていると、遠くに三味線の音が聞こえた
歩みを進めていくうちにその音はどんどんと大きくなり、目線の先に道端であっしと歳の変わらない程の童が舞を踊る姿を捉えた
『……姉御、あの童は何で道で舞を踊っているんでありんすか？』
「ああして日銭を稼いでいるのさ、花柳流の倅たちだ」
『……一家離散したと、父様が言っておりんした……故に所作が綺麗なんでありんすね、素人じゃないとひと目でわかりんす……お蝶の姉御！母様に貰った金平糖をおくんなんし！』
「気持ちは分かるけどねぇ……下手な情は掛けるべきじゃあないよ？」
『情ではありんせん！芸に見合った物を渡すのは当たり前のことでありんす！あっしは銭を持ってないから……それでもあっしだっていずれは芸を生業にとお稽古してる身、良いものと悪いものを見極める目だって確かでありんす！！』
「クスッ……ああそうだね、ここからあちきの家まではそう遠くはないことだ、芸事の話でもしてきたらどうだい？その代わり夕暮れ時には戻っておくれよ？」
『はいな！ありがとうございんす！』
タッタッタッ……
「お嬢だって、同じ年頃の友達が欲しいに決まってる……あちきの目の届く所なら親分も納得してくれるだろう？」
「……暫く世話ぁかけるな、お蝶」
「何言ってんだい、お嬢はあちきの妹さ！こんな世話ならいつでも大歓迎だよ、明日あたり他の郷の奴らも顔出しやがるさ」
「おう、よくよく見てやってくれ」
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 195人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
竜胆 - しゃらん。さん» どもー！イゾウ落ちの小説も良いですね！ww 夢主が金平糖好きって…また可愛いww (2023年2月4日 10時) (
レス) id: 32faf97f7c (このIDを非表示/違反報告)
しゃらん。(プロフ) - 西鶴.藍琉@FFX.Loveさん» わぁー！コメありがとうございます✨️あの人が落とされない日が来るのでしょうか( ˙-˙)笑 (2023年2月3日 18時) (レス) id: b3a781ffa5 (このIDを非表示/違反報告)
西鶴.藍琉@FFX.Love(プロフ) - 藍琉です〜。いやもう月乃兎太夫（主ちゃん）の相変わらずの花詠みの上げて落とすが最高です🤣 (2023年2月1日 13時) (レス) @page11 id: 8974fd4ba8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しゃらん。 | 作者ホームページ：http://.uranai.riane.jarrck
作成日時：2023年1月28日 15時
