秘めた願いを蛍に託し【狂死郎】 ページ20
お前に向けたあの言葉、ちゃんと届いただろうか？
手前勝手な男は百も承知、だがお前のことを一番に考えていた
お前の笑顔がいつまでも続くように、俺なりに努力していたつもりでいたが……
何とも情けない、最後の最後で失敗してしまった
お前の涙だけは、見たくはなかったんだがなぁ……
「A、出られるか？」
『お待ち下さいまし！今行きます！』
日も沈み始めた夕暮れ時、浴衣に着替えて俺はAを待っていた
Aが早くに仕事が終わるからと、今年の火祭りは一緒に行けると言い楽しみにしていたからな
『狂死郎様！お待たせ致し……きゃっ！！』
「おっと！だから走るなと言っているだろう？ただでさえAは鈍臭いというのに」
『うぅ……申し訳ありません』
「やはり浴衣は歩きにくいか？」
『はい……』
「日頃袴ならば仕方あるまい、とは言え……」
『何でしょう？』
「よく似合ってるぞ、その浴衣」
「左様ですか？狂死郎様にそう言って頂けるのであれば仕立てた甲斐も御座います！」
いつもの落ち着いた色の袴姿とは打って変わって、淡い桃色に真っ赤な牡丹が描かれた浴衣
牡丹と同じく赤い帯を捩じって巻いて、髪は珍しく高い位置で一つに束ねてあった
着物ひとつでこうも女を感じさせるのか……
「ならば簪の一つもつければ良かった、一際華やぐだろうに」
『生憎と持ち合わせておりませぬ、この浴衣とて幼き日から久しく仕立てました故』
「そうであったか……だがそのままであってもAは十分愛らしい」
『ふふふっ……世辞であっても嬉しゅうございます！早く参りましょう狂死郎様！』
都に出れば目の前はガヤガヤと賑やかな祭囃子を奏でる街並み、年に一度の無礼講に一層華やぐ花の都をAと並んで歩いた
提灯が照らす道の左右に並ぶ屋台の中から、Aが迷わず指差したのはかき氷屋
並んで買ったかき氷の味は、俺がみぞれでAはいちごに練乳、それを満面の笑みを浮かべて頬張るAが愛おしくて仕方なかった
「よくそんな甘ったるそうな物を食べられるものだ」
『甘いから美味しいのです！一口如何ですか？』
「なら、Aが食べさせてくれるか？」
『ふふふっ！はい、どうぞ』
「ん……やはり甘すぎる」
『この甘さが良いのです！』
「そろそろか……A、少し祭りを抜けないか？」
『構いませんが、どちらに？』
「そう答えをせるな、行けばわかる」
to be continued……
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リリ(プロフ) - ありがとうございます！とっても面白かったです！ (2023年1月17日 23時) (
レス) @page29 id: 022cb966a8 (このIDを非表示/違反報告)
しゃらん。(プロフ) - リリさん» わかりました！では更新したらまたお知らせしますね！こちらこそ遅くなってすみません！これからもよろしくお願いします！ (2023年1月17日 8時) (レス) id: b3a781ffa5 (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - いいえ、とくにないです！それとコメント遅くなってすいません！ (2023年1月16日 17時) (レス) id: 022cb966a8 (このIDを非表示/違反報告)
しゃらん。(プロフ) - リリさん» はじめまして！コメント、リクエストありがとうございます！！キッド了解しました！シチュエーションや傾向などのご希望はありますか？ (2023年1月16日 7時) (レス) id: b3a781ffa5 (このIDを非表示/違反報告)
リリ(プロフ) - どうも、はじめましてリクエストなんですけど、キッドお願いできますか？ (2023年1月15日 23時) (レス) id: 022cb966a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゃらん。 | 作者ホームページ：http://.uranai.riane.jarrck
作成日時：2022年10月8日 17時
