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女子バスケットボールは順調に一位でアンカーの奏にバトンが渡った。

「奏ーがんばれー」

「がんばってくださーい」

お前らほんとに思ってるか?という夏樹のツッコミを受けながら応援を続ける。

「そっか、アンカーだけ200なんだもんね」

「がんばれー」

あ、行けそうじゃない?と思ったときに奏が盛大にコケた。

「え、大丈夫?」「いたそー」「今だいけー!」など様々な声が聞こえる中で奏は立ち上がりそのままゴールした。

ゴールした奏は女バスの方々に囲まれていてまったく近づけなかったので私たちは「大丈夫かな?」と顔を見合わせることしかできなかった。

男子部門優勝は男子バレー部、女子部門優勝は女子陸上部で終わった部活対抗複合競争。

お昼休憩でみんながクラス展の準備をしているなか私たちは及川さんに呼び出されていた。

「いやーみんなお疲れ様!」

「京谷超足速いじゃねぇか!」

「及川と二人三脚してるときの国見の写真見てぇ?ww」

「国見顔死んでるwwww」

などなど様々な会話が飛び交う中で奏とまだ話せていない私は帰りたい気持ちでいっぱいだった。

「で、なんか優勝賞品っていってかりんとうをもらいました。」

「なんで?」

「個包装ですらないのおかしいだろ」

「俺もそう思うよ」

ってことで、と及川さんが続ける。

これは今回のMVPの俺がもらうから!とでも言うのかと思ったら
「お疲れ様で賞ってことで、あげるよ、狂犬ちゃんと深森」

「いらねぇ」
「大丈夫です」

回答のそろった二人に対して「なんでよ?!」と大声で言う及川さん。

「私かりんとうそんな好きじゃないので…」
「甘いモン好きじゃねぇ」

「あぁそう…じゃあ岩ちゃん…」

「いらねぇ」

「どうして今回のMVPたちはかりんとうを欲しがらないのかな?!」

及川さんがふっしぎーみたいな顔をしていると京谷が「クラス展の準備はやく来いって、衣装合わせ間に合わねーぞって夏樹が」と話しかけてくる。

「あ、そっか、衣装合わせしないといけないもんね。
すみません及川さん、クラス展のほうの衣装合わせが間に合わないらしいのでここで失礼します。」

「え?ほんとにかりんとういらないの?」

「ほんとに要らないので国見にでもあげてください」
そういうと国見が「なんで?!」という顔でこちらを見てきた。

「じゃあ、失れします」

と私たちは部室をあとにした。

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作者名:紫苑 | 作成日時:2023年3月14日 17時

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