★ ページ6
バスタブに貯まったお湯が白っぽいピンク色になって、バラの香りがバスルームに充満する。
お湯が濁っちゃったのがちょっとだけ残念だけど、Aちゃんが嬉しそうだったからいっか。
「んね？いい匂い。」
和くんのお膝の上に乗っかってるAちゃんの首筋をクンクンしてペロッと舐めてみた。
「んもぉ…くすぐったい。」
和くんの頭に手を回し抱きつく様にして、和くんに身を預けるAちゃんが耳元でクスッと笑った。
「だって〜Aちゃんが美味しそうな匂いなんだもん。」
「そんな事ないでしょ？」
「ううん。和くんに『どうぞ召し上がれ？』って誘ってる匂い。」
甘ぁ〜い…
和くんの大好きな匂い…。
口元にあるAちゃんの耳にチュッチュッとキスを落とす。
バスルームの中にその音が響いて…。
「んふふふ。甘えたさん？」
和くんの耳の上をほっぺでスリスリしてる。
「うん…だって寂しかったんだもん。」
「素直だねぇ…そんなAちゃんはちょ〜可愛い。」
「和くんは？寂しくなかったの？」
ボソボソと少し声色に不機嫌さが乗っかってて。
「それ聞いちゃう？」
「うん？」
「愚問でしょうよ。和くん、Aちゃんをポッケに入れてどこへでも連れて歩きたいって言ってるじゃん？」
スモールライトがあればいいのになって何回思ったんだろ。
「毎日もっとちゅぅしたいし…ギュッてしたいし…全然足りないよ…。」
和くんの肩に頭を乗っけて鎖骨をなぞるAちゃんに視線を落とすと、それに気付いたAちゃんも視線だけを和くんに寄越す。
こめかみにチュッとして、そこにほっぺを乗っけた。
「好きだよ？」
「ん…。」
「大好きだよ？」
「うん…。」
「ずっと和くんの隣にいてね？」
「ん…。」
Aちゃんが大好きだっていう気持ちは、和くんからとめどなく溢れて…。
それを受け止めるAちゃんも大変だなって自分の事ながら思ったりもするけど。
女の子を愛する事を諦めてた俺と、愛される事を諦めて臆病になってたA。
けど…本当は一生懸命愛したかったし…
自分だけに愛情を注がれる事を望んでたのかもしれない。
そう考えると俺たちは出会うべくして出会ったのかな。
「和くん？」
「うん？」
「のぼせそう…。」
「うん…そっか。じゃぁ洗いっこして上がろう？」
Aちゃんを膝から下ろして、二人でバスタブを出た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1420人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やっち(プロフ) - 久しぶりに君色世界を読ませて頂きました。素敵な作品をありがとうございます。激甘和くん、サイコーです！！ (10月10日 22時) (
レス) id: 56b315f470 (このIDを非表示/違反報告)
peru/旧perutc3010(プロフ) - 読破しました。6年の作品を一気に拝読し、今、なんとも言えない感情に包まれております。いろいろな方に感情移入し、頭の中は喜怒哀楽だけでは無い気持ちの行き場に困りました。本当に素敵な作品をありがとうございました (2019年9月19日 0時) (レス) id: 52470abde8 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - 君色世界、2-38さんが好きと言っていたので読ませていただきました！最後は号泣しました。和くんの愛がすごい、出会った時から最期の別れまで全力で誰にも負けないくらいの愛を…あぁ、思い出しただけでまた泣いちゃいそうです。読んで大大好きになりました！感謝です！ (2019年9月15日 8時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 君色世界、全作品を2日間で一気に読みました！最近の出会いだったのでこの作品が6年もの間大事に書かれていたことを最後に知り胸がいっぱいです。本当に素晴らしい作品を有難うございました。激甘な和くんに何度も泣かされました。これからも読み直します！ (2019年8月26日 4時) (レス) id: cb234e3700 (このIDを非表示/違反報告)
にのゆう(プロフ) - しおななちゃん。完全完結ご苦労様でした。あたしにとっては2-38ちゃんのLOVE CODE と並ぶ神作者、神作品です。ありがとう。 (2019年5月12日 10時) (レス) id: 5263db8165 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しおなな
| 作成日時：2015年2月5日 11時
