Behind Love. (ページ9)

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『永瀬くんっ…！』

昇降口からかなり離れたところでやっと彼は私が呼んでいたことに気づき、足を止めてくれた。

廉「ごめん、あんなこと言って…」

それと同時に、あの大胆な宣言を恥ずかしがっている。

正直、怖かったんだ。

彼と付き合うことで、いつか嫌がらせを受けること。

彼のことが好きな女子はたくさんいるから、そうなってもおかしくない。

『ううん、嬉しかった』

廉「ほんま…？」

『うん、ありがとう、永瀬くん』

廉「なぁ…永瀬くんって、もうやめん？」

『え…？』

廉「…廉って、呼んでや」

首に手を当てながら顔を真っ赤にして言う永瀬くん…いや、廉。

『じゃあ、廉…？』

廉「っ……おん、A」

『…っ……』

廉くんに負けないくらい、私もきっと真っ赤だ。

辺りを見渡せば、教室からはかなり遠い場所。

廉「なぁ、サボらん？」

廉から、そんな提案。

『でも……』

サボったことはない私に、その提案を飲むのはかなり難しくて。

廉「お願い」

でも、廉のお願いなら断れない。そんな気がする。

断っちゃいけない、そんな空気が廉にはあった。

廉「なんで今日鍵空いてんのやろ」

連れてこられたのは屋上だった。

いつもは空いていないらしいけど、廉くんがもしかしたら、と言ってここまできた。

なんで都合よく空いているんだろう、なんてことは気にしないで置く。

廉「初めて来たわぁ」

屋上で呑気に仰向けになる廉は、サボりに慣れてるのかな。

『なんで空いてたんだろうね？』

隣に座って、一応試してみる。

……試す必要は分からない。

廉「さぁ？」

『やっぱ、分かんないよね』

気のせい、だよね。