Behind Love. (ページ3)

今日:7 hit、昨日:17 hit、合計:39,481 hit

2. ページ3

その作者さんは人気で、残り1冊のその本。

…て、そんなこと気にしてるよりも。

『あ…な、永瀬くんて、こういうの読むんですね』

廉「……あ、まぁ……たまに」

なんか、乙女なんだな。意外。

こんな本、女子しか読まないと思ってた。

廉「あー…軽蔑したっすよね、」

私がじーっと見た事に、そう誤解したらしい。

『え、あ、いや！嬉しかったんです！』

廉「…へ？」

『あの、こういう本読んでるの、近くで私だけで！この作者さん、私大好きなので、男性に読者さんがいた事が嬉しくて！』

静かな店内で暑く語りすぎてしまったのか。

近くの人の視線は本ではなく、私へ向けられていた。

『あ……すみません』

ペコ、と頭を下げると。

廉「この本、欲しいんっすよね？」

そう問いかけてきた永瀬くん。

『あ、はい！』

廉「どうぞ」

いつの間にか永瀬くんがその本を手に取っていたようで。

その本を彼は、私に差し出してきた。

『え、いいんですか？』

廉「大丈夫っすよ。

その代わり、今度俺にも貸してください」

その言葉が脳内でハウリングしている。

結局私が買って、その約束が交わされた。

信じられない、好きな人と、こんな共通の趣味があったなんて。