Behind Love. (ページ11)

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廉「上がって」

学校からかなり近い場所にあった廉の住むアパートは、至って普通。

廉「狭いけど、座って」

床に置いたままのゲームとか、生活感があってなんだか温かくなる。

他にはベッドとローテーブルひとつに、色々入った棚しか、リビングにはなくて。

なんとなく、ローテーブル越しに座った私たち。

『なんか、なんもないね』

廉「あー、部屋にあんねん、全部は」

リビングと自分の部屋は違うのか、なぜベッドがリビングにあるのか。

疑問は私の頭を埋めつくす。

『廉の部屋見てみたいな』

口から漏らしたその言葉に廉はひどく肩を震わせた。

廉「部屋は、その…散らかってるし、ごめん」

散らかっているのを見られたくないちっぽけなプライドが、廉にはあるらしい。

ちっぽけだなんて、死んでも廉には言えないけれど。

『そっか、ごめんね』

廉「俺こそ」

『でも、することないね』

あざといのかな、私。

高校生にもなってみれば、彼氏の家に来てする事なんて1つ、なんてこと知っているのに。

廉「…すること、あるかもな」

机をひとつ挟んでいるのに、彼の熱視線は私をいとも簡単に溶かす。

『…そうなの？』

小説で腐るほど出てきた、彼氏の家での演出。

廉「…こっち、来て」

廉は自分の隣をぽんぽんと叩き、私を呼び寄せる。

素直にそこに座れば、彼の手は私の腰に回っていて。

『廉…』

怖いような、信じ難いような、嬉しいような。

まどろっこしい私の心の中。

色んな感情で埋め尽くされていて、変な感じ。

ついこの間までは、ただ遠くから見つめる、そんな人だったのに。

今では鼓動すらも、近くに感じるよ。

廉「……大好きやで」

照れくさそうなその言葉に反応しようとしたけれど、不器用に押し付けられた唇のせいでできなかった。