Love Triangle. (ページ40)

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俺は馬鹿だった。

『…私が好きなのは、紫耀だもん……！』

そう向かい側で叫ぶ、Aの気持ちに気が付かず、勝手に廉が好きだと言ったこと。

挙句の果てには、Aが廉のことを好きだと疑った。

そんな誤解、嫌に決まってるのに。

確かに前家で疑った時見たAの目は、真剣で嘘を言っていなかったのに。

心のどこかでまだ疑っていた俺。

いつから俺はこんなに、人を信じることが出来なくなったんだろう。

純粋に笑いあっていた俺らはどこへ行ったんだろう。

勘違いされて嫌だったと、まるで気持ちの蓋が壊れたように話すA。

すごいな、きみは。

俺なんて、ただ1人の廉を好きなだけで傷ついて、泣いて、苦しんでた。

でも君は、そんな俺の思いを受けながら、隣でニコニコ笑っていられるなんて。

きっとその裏には、拭いきれぬほどの辛さがあったはずなのに。

俺だったらそんな時、たとえ嘘でも絶対笑えない。

強いんだ、君は。

だって君は今も、俺に真剣な眼差しで向き合ってる。

怖さも感じない、堂々とした表情で。

普通、廉を好きな俺に告白するのなんて、そんな堂々とできるものじゃないだろう。

ダメ元だってわかっているのにも関わらず、君はなぜそんなにキラキラした表情で俺を見て思いを伝え続けるの？

俺なんか、そんなの真似出来ないな。

廉が好きになるのだって、分からなくない、な。

………道端に置いてきた最中の袋。

いつの間にか俺は、その袋と共に廉への想いも置いてきてたみたい。

好きな人が幸せになればいいなんて、綺麗事だって思ってた。

でも、違うんだ。

本当は、俺の隣で笑っていて欲しいって思っているけれど。

きっと1番は、本当に綺麗事なんかじゃなくて、好きな人が笑っていることが自分の幸せなんだろう。

それを見れば俺も幸せになれる。

初恋は実らないって、本当なんだ。

じゃあ次の恋は、初恋じゃないもんね。

絶対、絶対実らせてやる。

強い君の眼差しを受けて、そう思った。