Love Triangle. (ページ36)

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35._ S side_ ページ36

無我夢中に走り続けた。

後ろを振り返れば、いつの間にか通っていた砂道の砂が散っている歩道。

体力は昔から人一倍あった俺は、少し息切れする程度で、苦しくはない。

むしろさっきの廉の声がフラッシュバックしている方が苦しい。

なら、いっそ息切れして戻しそうになるほど苦しくなりたい。

もう一度走り出すと、家から1番近いコンビニまで来ていたことに気づいた。

そこにはいつしかの中学生の思い出が沢山詰まっていて。

時には俺がアイスを2人に奢ったり、奢ってもらったり。

時には人生初のコーヒーを買って"苦い"と顔をしかめたり。

俺が泣くのには、理由がありすぎた。

走る力がだんだん弱くなって、胸の苦しさが涙となって溢れ出てくる。

ぼやける視界の中で、路地裏に繋がる曲がり角を見つけた。

そこで1回落ち着こう、そう決めて曲がった時。

足元の何かにつまづいて、俺はその"何か"の上に乗っかってしまっていた。

？「いってぇ……」

紫「え、あ…ひ、人！？」

急いで起き上がり、思わず横に転げる。

下にいた人はゆっくり起き上がり、無造作に頭を搔いていた。

紫「あ……君は」

そこにいたのは、少し前にAが俺に報告した、廉とよく一緒にいる岸優太という男だった。