Love Triangle. (ページ34)

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ドアを開けた先に広がっていた空は、まるで俺の心を写しているかのように、見事に曇っていた。

一歩踏み出す度に、最中が入った紙袋が揺れる。

同時に、俺の心の中の何かも、着々と重くなっていくのがわかった。

廉の家までは数十ｍしかないから、1分もすればもう目の前。

玄関のドアの前に小さな門がある廉の家。

ガーデニングも綺麗にされているのは、廉のお母さんの趣味だろう。

俺の手が門を開けようとした、その時。

"ドタッ"

丁度廉の家の2階、そして廉の部屋の辺りから、外に響くほどの音がした。

さっと見上げると、開けられた窓から風に乗ったカーテンが身を乗り出していた。

そのせいで、かなり大きな音に聞こえたのかもしれない。

数年まえに廉の家に行ったっきりで、そこからは意識し始めたから廉の家には行ってなくて。

でも、あそこが廉の部屋だということは、ずっと記憶に残っていた。

その大きな音以降、おそらく無音になった廉の部屋。

さすがに心配になって、声をかけようとした。

……すると。

"俺は…ずっとお前のこと好きやったんに…それだけってなんなん…！"

大きな声を叫ぶのに、頬に添えた手が明らかに動揺し始める。

……Aが、いたのか。

廉が好きなのはきっとAだ。

廉が苦しそうな声で訴えかける相手は、絶対にAだと確信していた。

確かに俺は、今日委員会で遅かった。

だから2人と鉢合わせて帰ることもなく。

だからこそ、廉はAのこと誘ったのかな。

心臓は壊れるほどうるさいのに、思考は驚くほど冷静で。

普段から察しがいいと言われる俺。

2人が廉の家にいることに、都合の良すぎた今日。

気づいたら俺は、最中の入った袋を力の抜けた掌から落とし、家とは反対方向に無我夢中に走っていた。