Love Triangle. (ページ29)

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『おじゃまします』

誰もいない廉の家の中に、一応挨拶をする。

廉「別に誰もおらんのやからええよ、緊張せんでも」

ここ最近のすれ違いを、廉は気にも留めていないようで、至って普通に話しかけてきた。

それがある意味、廉のいい所なんだけれど。

廉「俺の部屋、2階の突き当たりの部屋やから」

廉の家に入るのは生まれて初めてだ。

廉のことが好きなわけでもなかった私には、廉の家に来る理由がなかったから。

『わかった』

廉は1度リビングに入っていったようで、私は私で廉の部屋へ。

ドアを開けると、シンプルなデザインのベッドとテーブル、勉強机とラグが敷いてあるだけの、無機質な部屋だった。

『これ、』

勉強机の上に置いてあった写真立てにふと目をやると、私と紫耀、そして廉で撮った写真が立てられていた。

高校の入学式の写真だから、あまり昔のものでは無いけれど、3人の距離がとても近くて久しく感じた。

廉「なんや、座ってればよかったんに」

如何にも客人用のグラスに麦茶を入れて持ってきた廉。

2つのグラスに入っている麦茶の量が明らかに違くて、不器用な廉が伝わってくる。

そのグラスをテーブルに置き、その前に座る廉。

廉「ん、」

廉は私に、隣に座れ、と自らの横を叩いた。

『…うん』

廉「……あのさ」

『……うん、』

廉「…あの花火大会の日、俺Aに言いかけたこと、あったやろ？」

『……あったね』

まるで記憶が曖昧になっていたような振りをする私。

本当はくっきりと記憶に残っているのに。

廉「それな、実は……」

『………うん』

バツが悪そうに、頭を無造作に掻きむしる廉。

廉「……お前のこと、好き、やってん」

告白されることを分かっていたはずなのに、廉に甘く見つめられた私の心臓はうるさかった。