Love Triangle. (ページ17)

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廉「あ、花火始まるな」

紫「……うん、だな」

紫耀の表情が晴れることないまま、一発目の花火が上がった。

『綺麗…』

夜空に上がる花たちに、思わず目を奪われる。

でも、心のどこかにわだかまりがあるのは、きっと紫耀のこと。

ちらっと、隣に座る紫耀を見る。

紫耀は花火を見上げているけれど、何が違うものを見つめる目をしていた。

でも、その横顔は花火に照らされていて、とても綺麗で。

紫耀の横顔から、目が離せない。

紫「…A？」

私の目線に気づいたのか、紫耀と目が合う。

廉は花火の音で紫耀の声が聞こえなかったのか、こちらに気づいていない。

『あ、ごめん、なんでもない…』

紫「ん、そっか」

私が何も無いことを確認すると、紫耀は花火に視線を戻した。

でもまた、その瞳は違う何かを見ていた。

廉「花火、めっちゃ凄かったな」

廉は、さっきから私の発言でもやもやしていて。

紫耀は紫耀で、なにか悩んでいて。

何も無いのは私だけだ。

『そうだね、また来年も見たいね』

紫「……うん」

廉「……やな」

帰り道、もう少しで廉の家だ。

廉「あー…じゃあ、また夏休み明け、な」

紫「………ん、」

『うん、また』

紫耀が笑顔を向けない分、私はできるだけ微笑んで返した。

…紫耀と二人で歩くのが何故か気まずいのは、紫耀の表情のせいだろうか。

『…紫耀、どうかしたの？』

紫耀はハッとしたように

紫「え？あ、なんでもないよ」

作り笑顔を浮かべてそう言った。

『……廉を探しに行って、何かあったの？』

紫「…なんでもないって、大丈夫」

紫耀が迷惑がってるのは分かってる。

でも、力になりたい。

『私ならいつでも聞くから…』

紫「…ごめん、Aには相談、できない」

『……え？』

紫「…Aには分からなかったんだ」

『なにが…？』

紫「俺が廉を探しに行った時、Aに廉が言おうとしてたこと」

その言葉を残して、紫耀は先に自分の家に入っていった。