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客が四人 ページ5

交渉は終わったので、安心して酒に手を伸ばした。

口に含んで暫く舌の上で転がし、飲み込む。

バーボンが喉を通り、アルコールが体に吸収されていく感覚。

其の感覚に酔いしれて暫くの間目を瞑る。

飲み終わると、マスターに礼を言って代金を支払った。

其の儘外に出て、辺りを確認する。

しれっと何もない顔でルパンを離れ、尾行がついていない事を確認して事務所に戻る。

取引後に何かしようと尾行してくる客は結構いるのだ。幸い、今回の依頼人はそういう類の人物ではなかったが。

歩いている間、酒が回った体を夜風がひんやりと通り過ぎて、心地よく感じた。

事務所に戻り、シャワーを浴びて布団に体を投げだす。


「やっぱり知らない相手に敬語は疲れる」


ましてや倉庫で見た相手だ、腹の探り合いをしているようで神経がごりごり削れていった。

疲れ果てていた挙句、アルコールまで回っていたので横になった瞬間眠気がどっと襲ってきた。

抵抗する意味もないので其のまま睡魔に身を任せる。



深い暗闇。周りは唯々黒く、光を反射しない影のように思える。

落ちていく。浮遊感。否、落下の感覚。

どんどん体の自由がなくなっていく。

意識の奥底、、、感覚の海に飲まれていく。

虚無感、、、脱力、、、終わりのない奈落に飲まれていく。



微かな光を感じて瞼を開けると、朝になっていた。

今は何時だろうと時計に目をやる。

七の方向に向いた針を見て、まだ営業時間前だな、と判断してのそのそと布団から這い出る。

洗面所にて冷水を顔にかけ、無理矢理目を覚ます。

今日も一日、情報屋として仕事が待っている。

却説、面倒臭いあの坊やに見つからなければ良いが。

客が五人→←客が三人



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紫苑(プロフ) - ありがとうございます!面白くて何よりです!クロスオーバー最高ですよね、、、 (6月14日 4時) (レス) id: 999d0c307e (このIDを非表示/違反報告)
とめーとー@カド松(プロフ) - 面白いです!お気に入りさせていただきました!クロスオーバーは大好きなので・・・ (6月13日 21時) (レス) @page11 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫苑 | 作成日時:2023年6月7日 13時

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