灰色に生きる情報屋は

客が十三人 ページ14

＿＿＿＿などと思っていた時期が私にもありました。

事務所に帰り熟睡した翌日の朝っぱらから米花町に関連する依頼を承ってしまった。

私の信条は「来る者拒まず」なのだから。

依頼とは「怪盗キッド」の写真が欲しいとの事。

依頼主の女性もまた、前回の「安室さんの住所が知りたい」と依頼してきた女性と同じような声色だった。

怪盗に熱狂的な愛好者(ファン)がいるとは吃驚だ。

犯罪者を支持、或いは崇拝する存在がいるのは警察側にとっては愉快ではないだろうな。

何ともまあ面倒臭い事を依頼してくれたものだ。

つい先日あの眼鏡の坊や及び米花町には関わらない様自分に言い聞かせていたばかりだというのに。

然し依頼されてしまったからにはやるしかない。

にしても仕組まれているかの様に丁度キッドが予告状を出した所であった。

否、と言うよりかは其れが十中八九依頼を承った原因だろう。余計な事を、、、

目当ての宝石は美術館に展示されている他より一際大きい紫水晶(アメジスト)らしい。

まあ写真を撮る事が出来れば其れで良いので何が目的とかは如何でも善い。

予告時刻の数分前に美術館の上にでも居座っておけば自ずと現れるだろう。

異能がないので自身の身体能力に頼る必要があるが此れでも情報を集める為なら手段を問わなかった。

壁と同化したり箱の中に納まったり天井に張り付いたり、、、身体能力には些か自身がある。

屋根に上がるのは問題がないので登った後は怪盗キッドが屋上に現れてくれる事にお祈りするのみ。

一先ず犯行予告の1時間前には事務所を出よう。そう判断して夜睡魔に襲われない様仮眠をとる事にした。

客が十四人→←客が十二人

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す