検索窓
今日:12 hit、昨日:0 hit、合計:16,071 hit

客が十一人 ページ12

Aが探偵社を出た後、探偵社内では敦が疑問を口に出していた。

「あの、、、さっきの人って誰なンですか」

そう敦が問うと太宰ではなく国木田が代わりに答えた。

「彼奴は情報屋であり三大組織の橋渡し役だ」

橋渡し役。故にどの組織にも面識がある。

頻繁に顔を出すので、探偵社の面子は勿論、マフィアの下っ端でさえも顔を覚えている。

基本ありえないが、非常事態の時に組織間でやり取りをする場合、彼女に頼む。

また、彼女がいるからこそお互いに行き過ぎた干渉をしなくて済むのである。

其処迄説明すると今一飲み込めていないが一応理解した敦は首を縦に振った。


一方、Aは武装探偵社を出た後、暫く暇でも潰そうかと米花町に足を向けた。

此の時、彼女は「面白い事件等があれば善いな」としか考えていなかった。

真逆其の「面白い事件」に自身が巻き込まれるとは思っていなかっただろう。


小腹が空いたので適当に近くの飲食店に入る。

ちらりと店内を見渡してみれば赤レンガ倉庫にて死体をベタベタ触っていた眼鏡の少年がいた。

友人と保護者と来ているらしく、合計で6名で座っている。

まあ関係のない事なので一瞥しただけで席に座る。

メニューを見て、卵包飯(オムライス)を頼む。

卵包飯(オムライス)が来る迄暇なので硝子越しに見える景色を観察する。

暫くの間外を見ていると漸く卵包飯(オムライス)が来たので観察を中断し食す。

幾度目か、飯を口に運び咀嚼していると女性の甲高い悲鳴が聞こえてきた。

悲鳴のした方向を見ると、丁度私の座った席の通路を挟んだ向かいの席に被害者と思われる人物が死んでいた。

目は死んだ魚のように既に光を失くしており、だらんと空いた口からは涎が垂れている。

此れでは私が疑われるのも無理はないな、と顎に手を添える。

案の定、眼鏡の少年からは探るような目で見られている。

取り敢えず、何もしないのもアレなので携帯を取り出して警察に通報する。

恐らく毒物の類だろうなとは思いつつも出血等がないか確認する。

目立った外傷がないので恐らく飲食物の中に仕込まれたのだろうと考え、観察する。

嗚呼、そういえば此の男性が御手洗いに行った時、女性が其処を通ったような、、、

勘違いかもしれないけれども。私は乱歩さんのような観察眼や推理力は生憎持ち合わせていない。

却説、加害者は誰なのだろうか。私は一先ず傍観していようではないか。

客が十二人→←客が十人



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (58 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
154人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

紫苑(プロフ) - ありがとうございます!面白くて何よりです!クロスオーバー最高ですよね、、、 (6月14日 4時) (レス) id: 999d0c307e (このIDを非表示/違反報告)
とめーとー@カド松(プロフ) - 面白いです!お気に入りさせていただきました!クロスオーバーは大好きなので・・・ (6月13日 21時) (レス) @page11 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紫苑 | 作成日時:2023年6月7日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。