客が十人 ページ11
暇だ。途轍もなく暇だ。
此処数日、全くと言って良い程依頼が来ない。
最初の数日こそ楽だと喜んだものの、何だかんだ言って私は情報収集が好きなのだ。
暇すぎたので、近況の把握がてら武装探偵社に寄ろうかと考える。
丁度読み終わった小説を本棚に戻し、事務所を出る。
暫く歩くと、何時も太宰が流れている川が見えてきた。
今日は入水はしてないのかな、等と考え乍ら橋を渡る。
探偵社についたので階段を上がる。
探偵社の人間がいる場所について扉を叩こうとすると、中から何やら戦っている音がしてきた。
急いで開けるとポートマフィアの黒蜥蜴の面子、そして其れを撃退している探偵社の面子と少年がいた。
恐らく其の少年が人食い虎なのだろう、と解釈して呆気なくやられてしまった黒蜥蜴を見る。
取り敢えず何此れ、どういう状況。
困惑した表情を浮かべ乍ら倒れた黒蜥蜴と探偵社を交互に見る。
何故黒蜥蜴は襲撃して、、、嗚呼そういえば闇市で虎に金が懸けられてたな。
そういう事ね、成程。
面倒くさい時にやってきてしまったな。
取り敢えず、、、
「撃退されちゃったんだし君ら帰れば」
横目で倒れてる彼等を見てから探偵社の方を向く。
唯一状況が飲み込めていない虎少年だけが警戒している状態だ。
太宰と乱歩さん以外の社員は皆何故私が此処にいるのかと考えている様子だ。
「社員になったという虎の少年は此奴かい」
白髪に黄色と紫のグラデーションの瞳をした少年を指し乍ら微笑む。
最終的な確認として太宰に目を向ける。
そうだとも、とでも言うようにニッコリと笑って軽く頷く太宰を見て指を下ろす。
「へぇ、、、綺麗な目ぇしてンね」
至近距離まで近づいて目の中を覗き込み、そう呟く。
すると少年、、、中島敦は顔を真っ赤にして後退った。
敦くんは揶揄い甲斐があるねぇ、と笑うと顔が苺の様に赤くなっていた。
「って、あれ、、、僕名前教えましたっけ」
私の情報収集能力は最早一種の異能だと言えるくらいには立派なものだ。
孤児院を追い出されてヨコハマに辿り着いた事を調べるくらい朝飯前だ。
疑問に思っている敦くんには答えず、探偵社を見渡してからドアノブに手をかける。
「其処の敦くんを見てみたかっただけだから、じゃあね」
「邪魔したね、探偵社」
そう言い残して私は扉を閉めた。
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紫苑(プロフ) - ありがとうございます！面白くて何よりです！クロスオーバー最高ですよね、、、 (6月14日 4時) (
レス) id: 999d0c307e (このIDを非表示/違反報告)
とめーとー@カド松(プロフ) - 面白いです！お気に入りさせていただきました！クロスオーバーは大好きなので･･･ (6月13日 21時) (レス) @page11 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑 | 作成日時：2023年6月7日 13時
