†陸話† 飼い主を自覚しろ ページ7
もう何時間、何日、何週間、囚われているだろう。
シャラ、と首輪から伸びる銀の鎖が揺れる。
「…行くぞ」
何気無くそう言ったカルラさんの指が私の首を撫でた。
シャラシャラと音を立てて外された鎖が首輪と共に床に落ちる。
赤黒い無数の首輪が擦れた痕と吸血の痕が付いた首にそっとカルラさんが口付けた。
抵抗する気も起きなくて私は虚ろな瞳でカルラさんに全てを任せて目を伏せた。
「…早く支度をしろ。
学校へ行かねばならんのだからな」
しかし、その言葉に驚いた私は伏せていた瞳に光を取り戻し、目を見開いた。
「…では、放課後に…だな、」
「あぁ、そうだね、兄さん」
「…」
ふと行こうとした私の背中を捕らえたカルラさんが、自らのマフラーを私の首に巻いた。
「…カルラ、さん…?」
「…瀧A、貴様は…私の、もの。
…それを、忘れるな」
…何を言っているの。
その手を払い、私はマフラーの端を閃かせて走った。
保健室のベッドに飛び込んだ私の長い茶髪とマフラーが乱れた。
ぎゅっとマフラーを寄せ、私はカルラさんの甘い匂いに溺れていた。
「…A…?
…A、なのか…?」
「…誰…っ?!」
不意に声を掛けられ、振り返った先に私がしているカルラさんのマフラーに触れた黒、金、茶の髪の男達がいた。
黒髪の無表情な男性が二人、金髪と茶髪の男性はニヤニヤ笑っていた。
今程カルラさん達に来て、傍に居て欲しいと思う事は無い。
不意にチョーカーをした黒髪の男性が私に笑いかけてきた。
「…この匂い…やはりAだ…」
黒髪の男性は、嬉しそうに笑った。
「…ねぇ、…俺…喉…」
自分の言葉を言い終わらない内にもう一人の黒髪の髪の男性が、私の首に咬みついた。
「…っ…、」
「…ふぁ、んん…っ、…美味、し…」
蕩けた声に、私は必死にその牙から逃れた。
「…覚えてないか。
…俺は、ルキ」
「おれはコウ君だよっ♪」
「俺はユーマ」
「…俺、は…アズサ…」
「…っ、ルキ…、…ルキ、さん…?
…嫌っ、…来ないで…っ、」
逃げ出した私は、半狂乱で走っていった。
屋上の扉を開けて飛び出した私は誰かにぶつかって止まった。
「…っ、…ごめ…な、さ…っ!!」
「…何が、あった」
身体中に響くのは、今だけ、しかし最も傍に居て欲しい人の低い声。
「…カ、ル…ラ、…さ…」
そこから、私の意識は途切れた。
ラッキーアイテム
眼鏡&眼帯
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 59人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
*SSU* - カルラ様〜〜〜〜〜〜♪愛してる〜〜〜♪ (2020年5月10日 2時) (
レス) id: b6be28c7e2 (このIDを非表示/違反報告)
詩音(プロフ) - 忘れてましたが！詩音は、私の3DSのアカ、こっちはスマホのアカになります。 (2017年7月4日 18時) (レス) id: 7eba9d74c6 (このIDを非表示/違反報告)
詩音(プロフ) - ゴミみたいな下手な絵でカルラさん御免なさい… (2017年7月4日 17時) (レス) id: 7eba9d74c6 (このIDを非表示/違反報告)
詩音(プロフ) - 携帯買ったので、一々パスワード入れずに済む…っ!！( ≧∀≦)ノ嬉しい (2017年7月2日 20時) (レス) id: 7eba9d74c6 (このIDを非表示/違反報告)
詩音 - Schicksalさん» そうですね。カルラさん好きの人に会えて光栄です!!これからも閲覧宜しく御願い致します♪ (2017年6月27日 22時) (レス) id: 30e1d5a9e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：詩音 x他1人 | 作成日時：2017年4月2日 21時
