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広斗side
ある日。
「おれ、ばあちゃんちいきたい。」
一丁前に成長した輝が
ポッケに手を突っ込みながら言った
Aは普段そういうことを言わない輝を見て
目を見開いたあと、薄く笑う。
まあ。確かに。
輝はAといつもくっついていたがるし
突然おばあちゃんち、って不思議だ。
「…じゃあ、行く?」
「いく!」
「それじゃあ自分のお部屋から電車の絵が描いてあるリュックと、冷蔵庫の中に入ってるりんごジュース持ってきて?」
おっけー!と、にこにこ笑顔で階段を駆け上がってか輝を見て
転ばないようにねーと声をかけるA。
楽しそうなその表情を見て
付き合いたての頃、俺の胸が異常なほどに音を立てていたことを思い出した。
「お前も行く?」
「……ううん。行かない。」
ねぇ、広斗。
と
桜色の唇が俺の名前を呼ぶと
俺に寄り添うように身体を密着させてくる。
腕にAの髪が当たって擽ったい。
「…私、広斗に渡したいものがあるの。」
頬を紅色に染めたAは
恥ずかしそうに手で自分の顔を覆った。
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作者名:ゆおん | 作成日時:2016年6月5日 19時