ショート！ショート！ショート！

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当たり障りのない


『すみません、急いでいるもので』

『今までありがとうございました』


当たり障りの、ない…挨拶？を早々に終え

ツカダさんは気にもせずまた来週！と走り去り

けど、私は少しばかりの疑問を持つ


「亮く、ん？今までって…どういう…」

『Aたん…』


ヒヤリとした、末端の神経

怖い程、思い出させるこの感じを忘れない


亮くんとお付き合いする前にもあった

当時…私には違う彼氏が居て


『Aたん？今のジム、やめてね』

「え、何で？…待って？亮く…」

『続けたいなら僕がちゃうトコ探すね』

「…今のジム、やっと慣れて来たし」

『Aたんには今のトコ合わへんと思うよ？』

「や、でもね？折角…お友達も出来たし」

『………Aたん？』

「あ、んと…みんな優しくてっ…」

『Aたん？』


無表情で私の名を、名前だけを発する

また支配される、生きている限り


忘れようと必死に藻搔いても不意に思い出される


あの時の…

付き合っていた彼はあれから知らない

私は………知らない


「…亮くん…ごめんなさい」

『ううん、分かってくれて良かった』


私が反抗しなければ亮くんはずっと優しい旦那様

私が従っていたら…毎日は平穏


『Aたん、大好き』

「うん、私も亮くんが大好きだよ」



例えば

貴女には墓場まで持っていく秘密はありますか？



『僕達、もっともっと幸せになろうね』



もし、そう聞かれたなら



『そろそろ…子供、考えようか？』

「…うん、亮くんに似た子供が欲しいな」


迷わず答えるわ


『Aたん…ずっと一緒だよ』

「…うん、そうだね」




本当は貴方のコトが大嫌いだって



『Aたんは…僕を、置いて行かへんもんね？』

「…うん、ずっと亮くんと一緒だよ」




私の旦那様は優しくて何でも出来てカッコよくて

私を甘やかしてくれて大事にしてくれて




死ぬまで私を縛り付ける、存在




end

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