10.瞳の奥の奥 ページ10
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コロセンセー全巻を、私の部屋の中にある一番綺麗な紙袋に入れて
コンコンコン、と金属製の階段を下りていくとヘッドホンをして、空を仰いでる二宮くんがいた。
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「ーーー…、……」
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月明かりに照らされてる二宮くんの横顔はやっぱりどこか綺麗で、胸が痛くなる。
あの瞳に映れる女の子は一体どんな子なんだろう。二宮くんが心を許す女の子は誰なんだろう。
その子になりたい。……あれ？なんだ、これ。
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ん？んん？ってざわついた胸を押し付けて、階段を下りきると二宮くんが私の存在に気づいて
ヘッドホンを首にかけると、少しだけ固かった表情が和らいだ。きっと紙袋を見たからだ。
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「あ…、はいこれ。コロセンセー全巻」
和也「…サンキュ」
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二宮くんは私から紙袋を受け取ると、中身を見てご満悦。
「返すのいつでもいいから」って言うと、二宮くんはまたサンキュ、と言って私を見た。
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和也「…………かみ」
「へっ？」
和也「………おろしてりゃいーのに」
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かみ。おろしてりゃいーのに。
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まるでどこぞやの暗号か、と突っ込もうとしたら二宮くんの視線でわかった。
私はいつも学校の時ポニーテールとも言えない、なんとも言えない高さで一つにくくっていて
さっきまでそうだったんだけど、家に帰るとすぐに外すのがクセで。外して髪を下ろしたまんま二宮くんの元へ戻ってきたから。
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……褒めて、くれたのか？これは？
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「あ、…、ありがとう」
和也「別に」
「あ…うん」
和也「…。じゃあ」
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なんだか気まずいこの空気感で、「バイバイ」と言おうとした時だった。
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潤「ーーー…A？」
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聞きなれた声がして、パッ！と振り向く。
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「先生！」
潤「なにしてんの？こんな外で」
「あ、いやこれは…。先生こそ」
潤「俺はお前ンチに忘れてったイヤホン取りに来たんだけど」
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そこにはザ・オフモードの先生がいて、不思議そうに私たちを見る。
そんな二宮くんといえば
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和也「……お前ンチ？」
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怪訝そうな目つきで、私たちを見ていた。
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