09.無邪気な少年 ページ9
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＊「では、本日の美化委員会は終了です。ありがとうございましたー！」
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ガヤガヤとしだす教室内。外はすっかり真っ暗で、春の夜の匂いがきっとする。
私は筆箱をカバンにしまうと、チラリとまた横を見る。
すると二宮くんは、カバンから最早相棒と呼べるほどのヘッドホンを取り出して首にかける。
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その一連の動作が、すごく無表情なのに無駄がなくて見惚れていたら
カバンの中身がチラリと見えた。
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「……え！」
和也「……は」
「二宮くん！コロセンセー読んでるの！？」
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二宮くんのカバンの中には、私が好きなコロセンセーっていうマンガがあって
でもそれはまだ2巻で。少しだけテンションが上がる。
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和也「……なに。」
「いいよね！面白いよね！これ！私大好きなんだ」
和也「……へー」
「全巻あるよ。もし良かったら貸そうか？」
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私がノリでそう笑いながら、カバンを肩にかけて二宮くんの方を向くと。
二宮くんは自分のリュックを肩にかけて、私の肩をグッと掴んだ。
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和也「マジ！？」
「え゛っ。」
和也「マジで！貸してくれんの！？」
「べ、別にいいけど……」
和也「マジ！行こ！帰ろ！お前ん家寄ろ！」
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二宮くんはそう、さっきの仏頂面とは正反対にキッラキラさせた少年のような顔で私を見ると
私の手をとって、教室を飛び出す。
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嘘でしょ、え、嘘でしょ。
待って、展開に追いつけない。
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えーっと、いっつもぶっきらぼうな二宮くんがキラキラした顔で私の手を掴んで
一緒に走りながら帰ってる？え、ちょっとまって。
二宮くんに触れると、殺されるような目つきで睨まれたり暴言吐かれたりするのに自ら？
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……どんだけコロセンセー好きなの！
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ぐるぐると回るこの追いつかない思考回路がショート寸前。
電車に乗って、揺られて。すぐ近くの居酒屋の裏にある階段に向かうと
二宮くんが「ここ？」とか不思議そうに見ていた。なんだか可愛い。
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「じゃあ持ってくるから、待ってて」
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私がそう言うと、「おう」ってズボンのポッケに手を入れる彼。
…息切れハンパないんですけど！
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