08.胸が跳ねる文字 ページ8
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二宮くんに掴まれた右の二の腕が妙に
熱い。
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翔「委員長。お前今日、常任委員会の補佐しろ」
「なんのですか？」
翔「美化委員会」
「美化委員会？…誰でしたっけ？」
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翔「二宮」
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…。
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＊「えー、本日の美化委員の諸連絡は今度の日曜日にグラウンドの草むしりをすることでーーー…」
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「……」
和也「……」
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なんでこの人が美化委員なんだよ！バカヤロー！
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もう一人の美化委員の中村くんは病欠で、そういう場合は大抵学級委員が補佐として回る。
そんなのはもう慣れていたし、仕方ないなって思ったら美化委員が二宮くん？
全然美化って感じしないんですけど！しかもすっごい気まずいんですけど！
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「……。」
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クラスごとに隣同士で座って話を聞くスタイルで、1年、2年、3年と廊下側から並んで行き
私たちは1-6だったから、一番後ろ。つまり、廊下側一番端の一番後ろの席で並んで座っていた。
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チラリ…、と左を見るとダルそうに頬杖をついている二宮くんがいて
…やっぱりよくよく見るとカッコいい。
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女子が羨むような白い肌に、長い睫毛、ふわふわな黒髪、少し色素が薄い瞳。
二宮くんの、横顔。
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和也「……。」
「！」
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そんな風に見つめていたら、思わず絡んでしまった視線。私はそれが異常に恥ずかしくて目を伏せると
どこからか、机にシャーペンで何かを書いている音がして
カリッ、と音が鳴り止むと今度はトントンと私の左腕を何かで突かれる。
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え、って目を上げると二宮くんが頬杖をつきながら私の方を向いていて
ツンツン、としていたのは二宮くんのシャーペン。そして二宮くんの視線の先には
私の机にぶっきらぼうに《なに？》って書かれてる、彼の文字。
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私は慌てて、筆箱からシャーペンを取り出してその下に《なんでもないよ、ごめん》って書く。
すると二宮くんが《じゃあなんでみてたの》って書くから、私は《たまたまだよ》って書くと
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《うそつくなや》って、二宮くんが口パクで言った。
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