07.脳震盪で勘弁 ページ7
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松本先生こと、松本潤くんは私の家ーーー…居酒屋の常連さんだ。
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よくサラリーマンとか、そういう類の方達に人気で駅のすぐ近くにあるってのも利点。
とにかく私のお父さんとお母さんが営んでる、居酒屋さんの常連さんで
「ウチ」と言うのは、「居酒屋」のことで決して私と先生は危ない関係なんかじゃない。
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ただ、このことは先生ファンクラブの人たちに殺されるから彩音以外誰にも言っていない。
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「ぃよ……っと、危な…」
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廊下も人で溢れかえる昼休み。ザワザワとした雰囲気の中、不安定な道具を抱えて歩き進める。
私は比較的背が高くはないから、下手すると視界が見えなくなる…、なんてこともチラホラ。
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危ないから早く教室戻ろうーーー…。
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そう思って、階段を上るために足を踏み込んだ。
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「あ゛っ」
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それでもやっぱり視覚ってのは大事で。全然見えてないと距離感覚が上手く掴めない。
ズルッと音がしたようなそんな気がして、道具が溢れかえる。
あ、やばい。このまんまじゃ真っ逆さまに落ちて、後頭部強打だーーーー…。
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脳震盪で済んでくれ、と目をギュッと瞑ると。
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「……へ」
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私の右の二の腕が、誰かの手によって捕まえられていてその力はすごく強い。
ゴトン、と重い道具たちが階段の踊り場に転がっていく。
まるで時が止まったかのような感覚に陥った私は、慌てて現実を取り戻そうと二の腕を掴んでくれた人を見ると。
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……もっと現実なんかには戻れなさそうになかった。
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和也「………」
「に……っ…、のみやく」
和也「…………バカか。」
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チッ、と舌打ちをして私の二の腕を掴んでいるのは完全防備体制からは程遠い
ヘッドホンは首にかけて、目は開けて。ブレザーの下にグレーのパーカーを着ている
そんな気だるそうな二宮くんだった。
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「あ…、ありがと…」
和也「……アンタいつか死ぬんじゃね」
「はい？！」
和也「災難に見舞われすぎだろ」
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二宮くんはハッと鼻で笑って、ヘッドホンを着けて私の横を通り過ぎた。
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