05.優しさに触れてしまった ページ5
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ハァハァ、と私の息遣いが無駄に大きく聞こえた。
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ずっと静かなキャラでいこうと思っていたのに。ついつい爆発してしまった、本音。
恐る恐る二宮くんの顔を覗き見ると、二宮くんの目が大きく見開かれてる。
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やってしまった。とうとうやってしまった。
私の平穏な学校生活が、見る見るうちに崩れていく。この人に何か言われたらおしまいだ。
ああ、もうどうしよう。って頭を抱えてたら
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その頭に、私より大きな手がポンポンと被さった。
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「へ……」
和也「ちゃんと言えんじゃん」
「え…？」
和也「自分の気持ち。ちゃんと言えんじゃん」
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和也「さすが委員長」
「……！」
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笑った。うそでしょ。
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頭が追いつかない。笑った。いっっも不機嫌そうに寝ぼけ眼な二宮くんが笑った。
しかもなんなら、頭をポンポンと撫でてくれた。ちょっと待ってよ。
しかもしかも、私のこと。「委員長」だって認識してくれてたんだ。
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待って、もう、ねえ、待ってよ。
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「あ…の」
和也「ナニ」
「二宮くんって……」
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なんで女子と話さないの？
いつも何聞いてるの？
何が好きなの？
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あ、ダメだ。聞きたいことが多すぎる。
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質問しようかと思ったら口ごもる、この感覚。だから嫌なんだ私。
うう、って思いながら『間も無くーーー…』ってホームに電車のアナウンスが流れる。
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風が吹く。
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「にっ、…二宮くんってどの駅で降りるの？」
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なんつー意味が分からない質問をしてしまったんだ、私。
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なんかただのストーカーみたいな質問じゃん！って思ったら
二宮くんが、首にかけていたヘッドホンを手にとって耳に着けるーーー…2秒前。
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電車が、目の前を通り過ぎる。
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和也「アンタが降りる駅と一緒」
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ーーー…そう言った二宮くんはヘッドホンを装着して、目を瞑る。完全防備体制。
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……わたし。
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前から、ちゃんと二宮くんに認識されてたんだ。
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彼の世界に、入れていたんだ。
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