28.嘘つき。 ページ28
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菜月「いただきまーす！」
「いただきます」
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カシャ、と当たり前のようにパンケーキをスマホに収めていく菜月ちゃんを見て
あ、女子高生だなぁなんて思いながらパンケーキにナイフを入れると
それを合図に菜月ちゃんが口を開いた。
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菜月「ね、Aちゃんは和くんの彼女さんじゃないの？」
「へっ！？ち、違、違う！彼女だなんてそんなそんな」
菜月「えー、やっぱり違うんだ。和くんモテるでしょ」
「うん、それはもう…、ものすごく」
菜月「やっぱり(笑) じゃあAちゃんは和くんのこと好き？」
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なんでだろう。
なんでこの時、私は嘘をついてしまったんだろう。
パンケーキにかかってるハチミツが苦く感じていたはずなのに。
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「そんな！…好きじゃないよ。好きどころか二宮くんとは友達レベルにも達してない気がするし…」
菜月「なぁんだ！そうなんだ！安心した！」
「えっ？」
菜月「昨日見る限りさ？和くん、Aちゃんと打ち解けてたから仲いいんだなぁって思って」
「いやいやそんな…」
菜月「ううん、仲良いよ。和くん女の子とは話さないもん、基本」
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菜月「だからさ？応援してくれない？私のこと」
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さっきまでふわふわだったはずのパンケーキが、ジャリジャリとした砂の味に変わる。
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「え……、」
菜月「私ね。中学の頃からずっと和くんが好きだったの。でも全然相手にしてくれなくって」
「えっ…と」
菜月「でも女の子とそんなに関わんない和くんが心許したAちゃんが応援してくれたら私、頑張れそうな気がするの！」
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何を言っているんだろう、この子。
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息がうまく吸えない。『好きじゃない』と言ってしまった手前、断る理由はどこにもない。
見当たらないんだ。
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なんで。
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「……う…、ん。分かった……」
菜月「ホント！？ありがとう、Aちゃん」
「うん……」
菜月「じゃあ早速文化祭行かなきゃ！和くんギターは…弾かないよね」
「え？」
菜月「あっ。ギターのことはAちゃん、聞いてないんだ？」
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なんで、好きと言わなかったんだろう。
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