21.夢の中のお話 ページ21
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彩音「くじ引き引いてステージ担当になるとかどんだけくじ運悪いの、アンタ！(笑)」
「もーいいじゃん、彩音。うるさいなぁ」
彩音「くはは、ごめん(笑) そっかー、じゃあ午後からは一緒に回れないね」
「うー…、あやねぇ」
彩音「よしよし。くじ運悪い自分を恨みなさい」
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翌日の昼休み。
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結局、昨日ステージ担当をしたいという人は現れず。困り果てた委員長たちが取った手段は「くじ引き」。
文化祭実行委員全員の名前を白い紙に書いて、委員長がテキトーに何枚か引いてそこに名前が書いてある人がステージ担当になることになって
見事、私の名前「春日」が引かれたということになる。
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別にいいけどさ…。ステージ担当。
でも…、彩音と回りたかったなぁ。なんて思いながら涙を飲んで卵焼きを食べていると
「春日」って、櫻井先生が廊下で私の名前を呼んでいた。
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なんだろう？って思って立ち上がって、教室の扉まで駆け寄ると続いて先生が口にしたのは
「二宮」という名字で、その言葉にドキン。と鈍く心臓が音をたてた。
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ガタ…、と椅子が引かれる音。きっと二宮くんが椅子を引いたんだ。
それからトン…、という足音。背中に気配がして、チラリと横を見ると眠そうに目を開けて
ヘッドホンを首にかけている安定した姿の二宮くんがいた。
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翔「お前らさ、今日の放課後に縁日の買い出ししてきてもらえる？」
「え゛っ」
翔「えってなんだよ。文化祭実行委員なんだから買い出しぐらい普通だろ？なにびっくりしてんの(笑)」
「あ…、いやなんでも」
翔「ってことで、メモと金渡すから、買ってきてな。予算は越すなよ」
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そうニコッと笑って去っていく先生。
いや、「越すなよ」じゃないんですよ…！
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メモを渡された横にいる二宮くんを横見見ると
バチリ、と目が合って。時間が止まったかと思いきやすぐに逸らされる。
そのままヘッドホンを装着して、無言のまま机に戻っていってしまう。
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…この前までのことは、夢の話だったのかな。笑ってくれたり、助けてくれたり。
全部、何かの私の間違いだったのかな。
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かすかに涙で視界が霞む。
私の視界にいるのは、彼の後ろ姿だった。
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