03.ヘッドホンをつけた王子様 ページ3
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あ、二宮くんも電車通学だったんだ。今までずっと知らなかった…。って
そう思っても話しかける勇気はない。そこまで私はコミュニケーション能力は備わっていない。
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はぁ…。また溜息が増える。もう少し積極的だったらなぁ、なんて思っていたら。
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「……〜〜〜っ…！」
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この時間帯なのに、何故かぎゅうぎゅうな電車内。よく二宮くん座れたな、って思うのと同時に感じる腰回りの違和感。
触られてるわー…。こんな私のお尻触っても意味ないわー…。なんて冷ややかな目線で自分を落ち着かせる。
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ちょっと触り方が気持ち悪い。ちょっと…、ちょっと…、ああ。
やだ。
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徐々にスカートの中に入っていく、誰かわからない手のひら。
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やだ、やだ。
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「ーーーー…っ」
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気持ち悪！って思いながら目を瞑ると、各駅停車なこの電車が隣駅で止まる。
プシューー…と開く扉の音を合図に、私は少しだけ目を開けるとヘッドホンをしてる二宮くんがこっちなんか見ずに電車を降りようとする。
まーじーかー！こっち！こっち！見て！助けて！
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そんな私の想いは儚く。俯くと、二宮くんの靴が出て行くのが見える。
ここで少女漫画とか、ドラマとかだったら。あーいうイケメンとかが助けてくれるんだけど。
生憎、ここは現実。リアルだ。助けてくれるなんて夢物語。
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どうしようかな、一回次の駅で降りて乗り換えしようかな…。なんて思いながら
ザワザワ…とした虫みたいな、嫌な感触に耐え忍んでいると。
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……いる、と。
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和也「……ダッサ」
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同じクラスになってから、数えられるぐらいしか聞いたことがない彼の声がして
その声がした瞬間、気持ち悪い感触が消え去る。驚いて目を上げると
そこには。
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○「な、なんだよ！」
和也「あ、駅員さん。コイツ痴漢です、痴漢」
○「なっ！離せよ！」
和也「離せって言われて離すヤツいるかよ。バカかオッサン」
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完全防備体制を外したーーー…、いわゆるヘッドホンも外して目もぱっちりな二宮くんが
初めて見た痴漢の人の手をねじり上げていた。
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