12.お前好きなの？ ページ12
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先生の紫色のイヤホンを取りに行って、慌てて戻ってきたら只ならぬ雰囲気。
月明かりの下、二宮くんはヘッドホンをかけてそのまま静かに帰って行ってしまった。
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「ーーー…先生？なんかしたでしょ、二宮くんに」
潤「なにかってなんですかー、質問の意図がよくわかりませーん」
「酔ってんの？」
潤「酔ってませーん」
「おかーさん、先生何杯目？」
母「5杯目」
「酔ってんじゃん！」
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私はいつも課題とかが終わったり、なかったりすると夜には店の手伝いをする。
よって、本日は課題も何もなかったから店を手伝っていたら
あのあと、居酒屋に寄った先生がいて。そういやさっきの気まずい雰囲気の謎を解こうと尋ねたら最早アルコールが回っていたらしかった。
先生はお酒が好きなのにアルコールに弱い。生ビール1杯で酔う人なのに5杯も飲んだらこの世の終わりだ。
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ハァ…。って溜息を吐いて、空っぽになったジョッキを下げようとしたら
ガシッ、と顔が真っ赤になった寝ぼけ眼の先生に手を掴まれて。ウルウルとした瞳で上目遣い。
ズルイ、この顔はずるい。
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母性本能、ってやつがくすぐられる。
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…なんて心を許したのがいけなかった。
先生はウルウルとした瞳で上目遣いしたかと思ったら、口角を上げて有り得ない質問をしてきた。
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潤「お前さー、二宮のこと好きなの？」
「はっ！？」
潤「あ、皿落としたー」
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ガシャン、と見事に割れたのは最近お母さんが買ったお気に入りのお皿。
あ、やば…。って恐る恐る後ろを向くと、鬼の形相で私を見つめてるお母さん。
いや、あの本当は先生が…！そんな言い訳を唱えながら、落ちた破片を拾おうとしゃがんだ。
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「好きなんかじゃないですよ」
潤「ふーん。好きじゃないんだ」
「そうですよ、絶対好きじゃないです！」
潤「なあ、知ってる？お前って嘘つく時、「絶対」って言って反対の理論言うの」
「はっ！？」
潤「『絶対好き』なんだ、へえ？」
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ズキっ。と痛んだのは
果たして、皿の破片で指を切った痛みか。胸の痛みか。
私にはよくわからない。
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