♭♭１９ ページ19
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学校の話題から私が次に登校できる日を聞かれる。
「たしか四葉さんも同じ日がオフだったので登校されるかと、」
その言葉に彼女は、そっか、とだけ相槌を打ってから少しの間の後、呟いた。
「……いつも通り話せるかな」
その言葉の悲哀の色の中には願いも含んでいるようだった。
「環は何もしてないのになんだか気まづくって、みんなまだ噂のこと信じてるから」
彼女は苦笑いしてそう続けた。
「そうですよね……」
四葉さんはあの噂が学校で流れていることさえ知らないだろうが、彼が否定するまで嘘だとは誰も知らないのだ。一織用さんの話によれば噂の彼女も私がこの前登校した日以来、仕事が重なっていて欠席が多いようで噂の収拾がつかないらしい。
「でも久しぶりに一織くんにも会えるの楽しみだし！」
暗くなった話題を変えるように一織用さんは声を上げる。
「私も楽しみにしてますよ」
一織用さんに会えることを、と続けたかったがそんな勇気はなかった。彼女の言葉が口からの出任せだとしてもそう言ってくれたことが嬉しかった。
それからまた話題が二転三転しているうちに時間が経っていたようだ。近隣の家の電気が少しずつ消えて行って、その代わり空の星が光を強めている。どちらからとも無く、そろそろ切ろうかということになった。
「それではまた」
「うん、またね」
そう言って電話を切ればピコンとメッセージが受信された。
「今日は急にごめんね。長電話だったのに付き合ってくれてありがとう」
「いえいえ、一織用さんと話せて楽しかったですよ」
そんな返信をすれば彼女からろっぷちゃんが喜んでいるようなスタンプを送り返される。
今から次の登校日が楽しみだ。勉学に励むだけのためだった場所に行くだけなのに、うさみみフレンズパークに行く前の子どもみたいに心が躍っている。
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作者名：汐見 | 作成日時：2020年5月15日 18時
