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「ボク、アイドルになるためにこの国に学びに来たんだ」
彼はそう言った。
「アイドル…？」
この国でアイドルというのはアーティストだとかパフォーマー、そんな言葉で代用される。
どちらも疎かにしないように歌いながら踊るなんて難しすぎるから。
「だからボクは歌って踊る。
演劇も学んでドラマやミュージカルだってこなせるようになるんだ。
ここは特にミュージカルに強いって聞いたし」
「すごい」
私はそう感嘆の声を漏らす。
単純にそれだけだった。
私がこの国に来たとき、
１０歳のときのこと、
言葉を覚えるだけで精一杯だった。
勉強についていけないわけじゃなくても学業以外にも励むなんて考えられなかったから。
夢なんて考えている暇もなかったから。
「ありがとう？」
彼はどう返せば良いのかわからないがとりあえずといった口振りでそう返す。
天ならできる。
そんな気がした。
素人の私にはあのパフォーマンスの改善点なんて何一つわからないほど完璧にみえたから。
「練習がんばってね」
これ以上ここに居れば彼の邪魔をしてしまうだろう。
彼が完璧だと思うステージをいつか観れれば良いな。
「今日はありがとう。
Aの歌もまた聴きたい」
彼にまた聴きたいなんて言ってもらえるとは思わなかった。
嬉しいけれど驚きの方が勝る。
「こちらこそありがとう。またね、天」
「うん、またね、A」
私は帰りますと友人のお母さんに伝えてスタジオを離れた。
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汐見(プロフ) - 結夏さん» 素敵な感想ありがとうございます。励みになります。これからもそう思っていただける作品になったらと思っております。同時に更新、大変お待たせをいたしました。これからもこの作品並びに不束者ですが汐見をよろしくお願いします。 (2019年11月27日 20時) (
レス) id: ff314090b7 (このIDを非表示/違反報告)
結夏 - とても面白く、お話の世界観に引き込まれ時間も忘れて読み進めてしまいました。更新お待ちしております。 (2019年6月30日 14時) (レス) id: 1273e93dd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：汐見 | 作成日時：2018年11月16日 19時
