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日が西へ傾きだした頃におやつの時間は終わったみたいだ。

主婦に見えるお客さんたちも帰って行く時間である。


「そういえば…、こないだお母さんとテレビ見てたんだけど、バラエティで三月くんたち出てたの見たよ」

それはゴールデンタイムである7時から9時に放送されている番組だった。

ゲスト出演だったが司会の方がうまくトーク力を引き出してくれて彼の魅力が存分に発揮されていた。


「Aに見られてたなんてなんか小っ恥ずかしいな。でもありがとな!」


彼は驚いてそれからぱあっと笑顔になる。


「アイドルの夢叶えたんだなーってなんか私まで嬉しくなったよ」


番組内での彼の活躍を振り返るようにそう笑顔で語る。


「覚えててくれたんだな、オレの夢!
 最近はすげーアイドルさんとも共演させてもらったりすることも増えてまだ信じらんねえ…」


そう言う彼は心底幸せそうだ。


「先輩のRe:valeとかTRIGGERとかほんとに仲良くしてもらってさ、
 毎日が夢みたいだよ」

「TRIGGER…」


ライブの日に見たファンたちと同じ目をして、友人を紹介するような口調で彼は続けた。


「AってTRIGGERのファンだったっけ?」


私がぽつりと呟いた単語が届いていたようで彼はそう聞き返す。


「えっと…まあ、そんな感じ、かな?」

「それなら早く教えてくれても…あ、いらっしゃいませー!」


放課後なのだろうか、こんな時期に学校だなんて日本の高校生は大変そうだななんて他人事のように考える。

女子高生に見られる2人組は店に入った途端にそわそわし出した。

きっと三月くんのファンかその類だろう。

母たちも会話が一段落したようだ。


「またな!」


彼は私の方を向いて短くそう言って接客を始めた。

店を出れば空の色は薄くなっていた。

母の買ったケーキは夕食後に食べることになるだろう。

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汐見(プロフ) - 結夏さん» 素敵な感想ありがとうございます。励みになります。これからもそう思っていただける作品になったらと思っております。同時に更新、大変お待たせをいたしました。これからもこの作品並びに不束者ですが汐見をよろしくお願いします。 (2019年11月27日 20時) (レス) id: ff314090b7 (このIDを非表示/違反報告)
結夏 - とても面白く、お話の世界観に引き込まれ時間も忘れて読み進めてしまいました。更新お待ちしております。 (2019年6月30日 14時) (レス) id: 1273e93dd3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:汐見 | 作成日時:2018年11月16日 19時

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