___prologue ページ1
「トマトスープとグリルドチーズサンド、
あとアイスのカフェモカを」
トマトスープとグリルドチーズサンドなんて
家でも食べられるし、
なんならAなら作れるでしょ？
ってどうせ今日も来るのが遅れると思われる友人に言われるだろうけど
ここのは別格なんだって。
気分で選んだドリンクと
おきまりのブランチメニュー。
いつもの窓際の席に着けば、
私は小さな鞄を背からおろして本を開く。
目で字を追っているのに内容なんて頭に入ってきてはくれない。
もうこの国へ来て7年も経つのか･･･。
日本へも長いこと帰っていないし、
両親と最後に面と向かって話してからどれくらい経ったっけ。
幼い頃の友人も元気にしているだろうか。
まあお姉ちゃん、
と言っても母の弟の奥さんととっても仲良くやってるし楽しいからいいんだけどね。
最初のうちはなんて言っているのかさえ聞き取れなかったのに。
「お先にカフェモカ、
料理もでき次第お持ちしますね」
置かれたグラスと店員の声で我に返った。
「ありがとう」
と短く返事をしてから、
モカをスプーンでくるくるかき混ぜる。
ときおり氷がグラスに当たって音を立てる。
汗をかいたグラスもどことなく涼しげだ。
彼だったらドーナッツでも頼んだだろうか。
彼と出会ってからは5年。
あの日もこんな快晴だったな。
彼は今頃どうしているのだろう。
彼の言っていた「アイドル」になれたのかな。
何より彼は私のことを覚えてくれているのだろうか。
こんなことぐるぐる考えていても仕方ないなんてわかっているのにどうしても忘れられない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
汐見(プロフ) - 結夏さん» 素敵な感想ありがとうございます。励みになります。これからもそう思っていただける作品になったらと思っております。同時に更新、大変お待たせをいたしました。これからもこの作品並びに不束者ですが汐見をよろしくお願いします。 (2019年11月27日 20時) (
レス) id: ff314090b7 (このIDを非表示/違反報告)
結夏 - とても面白く、お話の世界観に引き込まれ時間も忘れて読み進めてしまいました。更新お待ちしております。 (2019年6月30日 14時) (レス) id: 1273e93dd3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：汐見 | 作成日時：2018年11月16日 19時
