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また新しい夏がやって来た。
この夏が終われば彼は何年生になるだろうか、
もう既に天は大学に入る話をしていた。
この街を歩いていればあちらこちらに紫色の花を見かける。
夏休みもまだ初めの今日は天の誕生日なのだ。
それを祝うようにジャカランダの花びらが舞って道を紫に染める。
晴れた青い空、淡い紫のジャカランタ、明るい緑の芝生は日の光を浴びてとても綺麗だ。
「お誕生日おめでとう、天」
練習を終えてこれから帰ろうとしている彼に声をかける。
毎日の練習や舞台から飛び級のための勉学から多忙であろう彼と話せるのはスタジオに行った時くらいだ。
「ありがとう、A」
彼は綺麗な笑みを浮かべてそう言う。
「16歳、良い一年にしてね。
あとこれ、プレゼント」
バースデーカードと小さめの箱を手渡す。
中には小さなホールケーキが入っているのだ。
甘いものが好きだと言っていた彼に最近できたばかりのフォトジェニックな流行りのスイーツ店で買って来たものである。
箱を見て彼はすぐに声を上げた。
「このお店のスイーツ気になってた、
ありがとう。
でもここそれほど近くないでしょ？
わざわざボクの誕生日に合わせて買って来てくれたんだ？」
彼はまた一段と笑顔になって私の方を向く。
そんな姿が可愛らしいなとも思いつつ、
初めて会った時より格段に大人びてかっこよくなった彼に私は惚れ込んでしまっていた。
「ここのケーキ、お姉ちゃんが買ってきてくれたことがあって美味しくて。
天、前にスイーツ好きって言ってたでしょ？
だから誕生日にちょうど良いかなって」
彼の言った通りこのスイーツ店は少し遠いのだ。
忙しい彼なら行く時間もないかもしれないというのも買ってきた１つの理由である。
ちなみにスタジオでしか会えないと言うのも忙しいから一緒に遊ぼうと誘えないということにしている。
本当のところ私に誘う勇気がないだけだし、もちろん誘われたこともない。
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汐見(プロフ) - 結夏さん» 素敵な感想ありがとうございます。励みになります。これからもそう思っていただける作品になったらと思っております。同時に更新、大変お待たせをいたしました。これからもこの作品並びに不束者ですが汐見をよろしくお願いします。 (2019年11月27日 20時) (
レス) id: ff314090b7 (このIDを非表示/違反報告)
結夏 - とても面白く、お話の世界観に引き込まれ時間も忘れて読み進めてしまいました。更新お待ちしております。 (2019年6月30日 14時) (レス) id: 1273e93dd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：汐見 | 作成日時：2018年11月16日 19時
