思春期に中指を【95's】 (ページ1)

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Prologue ページ1

「…こっちくんな」
「…どうして」

あの日、引き裂かれた仲。
恐ろしかった。
人間不信は日常になった。

恋などにときめいている人たちが、馬鹿馬鹿しく見えるようになった。
その日から、周りと違う生き方をした。

「テヒョンくんの浮気者」
「…え？？いや俺はただ、」

なぜ、こんなにも高い壁があるのだろう。
同じ人間だろ。
なぜ男友達ならいくらでもそばにいてよくて、女友達なら恋愛だと思われるのか。

自分が無知なのか、周りがおかしいのか。
なにも分からないまま、俺はここにいる。

「ジミンくんってかっこいいよね〜」
「え？？〇〇もジミンくん好きなの…？」

「好きです、私と付き合ってください。」

告白する前は、好きだ好きだと言い、振られたら、嫌いだ嫌いだと言う人たち。
中身のない、「好き」だらけ。

…心から人を愛したことがありますか？

なんだかくだらなくって笑えてきた。
誰か本当の愛を、俺に見せて。

あの冬の日、3人で道を歩いた。
「受験やだーー！！！」
「でも俺ら3人同じ高校行きたいよ」
「テヒョンアお前が今のところ一番まずい状態だぞ」
「そしてやだやだと何度も言う私が一番余裕あるのですよ」
「はい前向いて歩きましょー。」
「来た、ジミンの必殺スルー」
「俺にも分けてそのスキル、テヒョンの必殺技にする」
「それ身に着けない方がいいよ」

ゆるゆる話した私。
未来を描いたテヒョン。
ツッコミに専念しまくるジミン。

3人とも、笑っていた。
3人とも、この世が最悪な場所だと知っていたから。
そして、この世が本当に面白い場所だと知っていたから。

「明日も噂されるんだろうなー私達」
口癖のように私は吐き捨てるように言う。

「中指立てたい」
ジミンがぼそりと言う。

「…最悪だよいつもいつも」
諦め混じりにテヒョンも言う。

「でも、…別に良くない……？？」
ほんの少しむりやり作った笑顔で私は言った。

もう、周囲を笑い飛ばせるほど、私達はこの時点で余裕を持っていた。
色褪せない記憶を、残そうとした。

道のど真ん中で、3人で叫んだ。

「「「最悪だぁぁぁぁ！！！！」」」

その後、何故か笑った。
幸せだった。

そして、日々は2年経った今も続いている。
笑えてくるような思春期の中をくぐり抜けている。

この物語は、世界に正々堂々中指を立てる物語。
この物語は、私達の、ちょっと変で最高な青春の物語。
朝が来、昼が来、夜が来るだけの話。

今日も、笑いながら、何かに中指を。