思春期に中指を【95's】 (ページ4)

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学校前のバス停に着くと、そこはいつものように人だらけだった。朝練をしている陸部を横目に、校舎に入る。こんどは吹部の音が聞こえてくる。お疲れ様です朝早くから、と、まさに他人事といった感想を持つ。
おはよー、と声をかけられるたび、適当に応答した。

「んじゃまたー」
「じゃねー」

廊下でジミンと別れ、私はテヒョンと共に同じ教室に入る。
ジミンがA組、私達がB組だ。

「ねえA」
「なに」
「何で組ってABCなんだろ、中学うちは123だったよね、でも中学からABCのとこもあるみたい」
「それ永遠の謎だから考えるのやめよ」

おはよ、と小声で言いながら教室に入る。
教室のざわめきが私は苦手だったりする。ちゃらちゃらした幸せ自慢に聞こえてくる時期もあった。ひねくれものなのか私は。
テヒョンは一番窓側の席で、私がそれの2つとなり。

あーだこーだしているうちにチャイムが鳴り、ホームルーム、授業が始まっていく。

よくよく考えれば登下校と放課後以外、あまり二人とは話さないのかもしれない。
休み時間には女の友達と過ごすし、二人も男子たちとわちゃわちゃしている。
まあ別にそれがなんだと。
程よい距離感が固い絆を作っているみたいだ。

＊＊＊

…とても眠い。
春のせいにしておこう。春は眠くなるとよくいうから。

「……じゃあー、この問題、シン、わかるか」

…シンって誰だろ、あれ、

「おいシンAーお前だぞー」

「はっ！！」

数学教師に名前を呼ばれ、居眠りしかけていることに気づいた。

「またあいつかよー」
「がんば、A」
クスクスと笑い声が聞こえる。慣れっこだ。

窓側を見るとテヒョンもうとうとしてるものだから、なんだか笑われてるのもどうでもよくなってきた。

ちなみに問題の答えは間違えた。もっと笑われた。でも、テヒョンは寝ていた。
太陽の光に照らされて、その髪は茶色みが強くなっていた。

放課後をベースとしているような、学校を適当にやりすごす生活も悪くないからおすすめしたい。学校は付属品だ。

辛いことから自分を遠ざけるのだ。

チョークの音を聞きながら、私はまた意識を睡眠へと向けていった。

そうやって、今日の「付属品」が終わるのを待った。

「はあ…シンお前…数学1な」
「……あっ、すみません…」

待つだけでは、駄目らしい。