-遅刻とタックル- ページ30
_________
_______
____
日が沈み夜が、とっぷりと静かに辺りを包んだ頃、不気味な三日月が明るく昇り、咲き乱れる藤の花をも明るく照らしていた。
ここは藤襲山。
最終選別会場。
「(ヤバイヤバイ!間に合うか!間に合え!)ッらぁあ!!ってうおおあ!ぶつかるゥウウ"!!」
「…えっ。うわぁっ!!?」
なんと、道に迷ったAは最終選別開始時刻を少し過ぎるか間に合うかという瀬戸際の一大事に全速力で山を駆け上がり藤の花には目もくれず一目散に走り去る。
次第に見えてきた赤い鳥居。……と先の長ぁい階段。
おいおい地獄かよ、と1段飛ばしで駆け上がっていたところ前に居た階段を上る青い服の少年に気が付かずそのままタックルをかましてしまうというなんとも間抜けな光景。
ズサァ!と巻き起こる土煙に何事かと会場にいた数名がAと少年に注目する。
派手に少年を突き飛ばし派手に転ぶ、と思ったが(まじでごめん)その衝撃は殆どなく少年の暖かい手によってAの頭は守られほぼ無傷であり一緒に転がりながら少年はAを抱き止め受け身を取っていた。
「いったたた…、」
「…ッ、すっ、すすすみませんッ!すみませんすみませんッ!ほんっとうに申し訳ありませんッ!」
「いきなり何なんだ…、君。階段では危ないから走っちゃダメだ。それより怪我はないか?」
光の速さで少年から離れ地面に這いつくばりながら土下座を繰り返すAにあろうかとか少年は優しく手を差し伸べてくれた。
赤み掛かった髪に赤い目
特徴のある耳飾り
狐の面
傷だらけの手に、優しい声色。
…綺麗な人だな……
「け、怪我はないです!貴方様が庇って下さいましたから。いやー、道に迷っちゃって。参っちゃいますよね。間に合うか間に合わないか…前見ずに走っちゃってて…本ッ当にありがとございましたッ」
差し伸べられたその手を取り立ち上がると再び勢いよく頭を90度に少年に下げる。
「別に怒ってないからそんなに謝らなくても大丈夫だ。キミ、名前は__「「皆さま。今宵は鬼殺隊最終選別にお集まりくださってありがとうございます。」」
提灯を持った幼い二人が話始め、注目は一気にこちらから二人へ向けられた。
…こんな小さい子が…。
いや、話に集中しろ。
ついに始まるぞ。
生き残るんだ、絶対に。
狐の面の彼も
最終選別の説明に注意深く耳を立てている。
……あ。名前言いそびれたな。
後で名前、聞こう。
.
811人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はな - とても素晴らしい作品でドキドキハラハラしながら読ませてもらっています!続編を読みたいのですがパスワード教えてもらえたら嬉しいです!! (2022年12月17日 1時) (レス) id: 91f9c89261 (このIDを非表示/違反報告)
らむね(プロフ) - 続き読みたいです!!パスワード教えてくれませんか? (2022年4月30日 15時) (レス) id: 5ec7e35342 (このIDを非表示/違反報告)
皐 - とても素晴らしい作品でした!続きも読みたいので、パスワード教えてください (2022年4月27日 18時) (レス) id: 5f014d6a1f (このIDを非表示/違反報告)
のん。(プロフ) - 胡蝶3姉妹推しです!さん» 胡蝶3姉妹推しです!さん はじめまして!恐れ多い御言葉大変恐縮です...!これからも書き殴っていきますので何卒お付き合い頂けますと幸いです。コメントありがとうございました! (2020年7月31日 9時) (レス) id: 026c0ddca4 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶3姉妹推しです!(プロフ) - わぁぁぁ私の作品が塵以下だったとしたら貴方の作品は神より凄い! (2020年7月31日 6時) (レス) id: 7688185c2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:のん。 | 作成日時:2019年9月1日 23時