-両腕いっぱいの山菜- ページ13
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__ガラッ
「ただ今…ッ、はぁ…ッ!戻り…ました……ッ!」
影千夜さんのいる家へと命辛々辿り着くなり安心し切った様子でカクン、と膝から崩れ落ちた。
その拍子に何本かの薪がカランコロンと音を立てて床に転がる。
「おう。早かったな。夜になるかと思った。よく帰ってきた。って坊主…お前何持ってんだ。」
「何って…山菜です。…約束したじゃないですか。晩御飯は任せてくださいって。日没までに戻るのも約束です。守ります。」
影千夜はAの両腕いっぱいに抱えられた山菜の山を見て驚いたように声を上げる。
「(あの量の薪割りを終えて…両腕いっぱいの山菜まで採って帰る余裕があるのか。こいつァ、面白い…!)薪は裏に置いておけ。先に汚れ回ったその汚い面を洗い流してこい。」
「言い方ァ!いや、行きますけど!薪は裏に置いておきますけどぉ!行ってきます!!」
山菜は調理場に置き、重い薪の入った籠を再び ふん!と鼻息荒く背負い直し戸をスパァン!と閉める。
「威勢のいい坊主。この一日で随分といい表情になりやがって。ここも随分と賑やかになったもんだ。」
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「なにさ!影千夜さんの…影千夜さんのぉ…!ぐぬぬう…っ」
今日作った薪をガンッ!と乱雑にかつ丁寧に積み上げつつわなわなと震え言葉を飲み込む。
…早く汚れ落しに行って、ご飯作らなきゃ。
いつもの川。
ザブン!と勢いよく飛び込む。
「い"った"ぁ"あ"……ッ!」
完ッ全に忘れてた。
今日崖から落ちて色んなとこ切ったの忘れてた。
戻ったら包帯貰おう…。
「そうだ、あの洞窟。猪に追いかけ回されたことも話そう。山菜の天ぷら好きかな、影千夜さん。」
今日あったこと。
色んなことをあの人に聞いてほしい。
あの人の事ももっと知りたい。
帰らなきゃ、夜が来る。
__夜は、鬼が出る。
「影千夜さーん。戻りました。釜借りまーす。」
釜に良く乾いた薪をくべ火を付ける。
深く息を吸い竹筒に酸素を送る。火は勢いよく燃え釜を暖める。
疲労からくる眠気と戦いながら、良く研いだ米が炊き上がるのを待ちながら山菜の天ぷらを揚げる。
「あ"っつぁ"!!」
勢い良く跳ねた油がAの腕めがけて飛んでくる。
反射的に飛び上がり奇声をあげる。
影千夜さんに「本当に大丈夫か…」と本気で心配される始末。
ええい、情けないぞ……!
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はな - とても素晴らしい作品でドキドキハラハラしながら読ませてもらっています!続編を読みたいのですがパスワード教えてもらえたら嬉しいです!! (2022年12月17日 1時) (レス) id: 91f9c89261 (このIDを非表示/違反報告)
らむね(プロフ) - 続き読みたいです!!パスワード教えてくれませんか? (2022年4月30日 15時) (レス) id: 5ec7e35342 (このIDを非表示/違反報告)
皐 - とても素晴らしい作品でした!続きも読みたいので、パスワード教えてください (2022年4月27日 18時) (レス) id: 5f014d6a1f (このIDを非表示/違反報告)
のん。(プロフ) - 胡蝶3姉妹推しです!さん» 胡蝶3姉妹推しです!さん はじめまして!恐れ多い御言葉大変恐縮です...!これからも書き殴っていきますので何卒お付き合い頂けますと幸いです。コメントありがとうございました! (2020年7月31日 9時) (レス) id: 026c0ddca4 (このIDを非表示/違反報告)
胡蝶3姉妹推しです!(プロフ) - わぁぁぁ私の作品が塵以下だったとしたら貴方の作品は神より凄い! (2020年7月31日 6時) (レス) id: 7688185c2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のん。 | 作成日時:2019年9月1日 23時