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どんちゃん騒ぎをした後、
Aさんが居ないことに気がついた。
けど、ふと周りを見渡せば、
Aさんはコートのポケットに手を突っ込んで、
曇ってて見えない夜空を見上げてた。
俺は寒がりなあの人にスープを持って近寄る。
「はい、これ」
『あぁ樹、ありがとう』
樹「どうしたんですか、一人夜空見上げて。
曇っててろくに見えないし」
『ちょっとだけ地元が懐かしくなって。
昔はさ、雪合戦とかしてたんだよ、兄弟や近所の子なんかと』
樹「へぇー。
帰りたくなったんですか?」
『……帰りたくないって言ったら嘘になるけど、
帰る気力が湧かないんだよね』
樹「辛くないんですか?」
『別に家族に会わなくても、私は元気だしね。
ほら、便りがないのは元気な証拠って言うじゃん』
樹「そうですけど……」
『無理して帰ることも今じゃ無いかな。
特に長期休みはゆっくり過ごしたいよ、家で』
Aさんはそう言うと、俺が持ってきたスープを飲んでた。
吐き出した白い息が空に昇ってく。
『ほら、私に構ってないで向こう行きな?
みんな心配してるよ』
樹「Aさんも一緒に戻りましょ?
ここ、初対面のスタッフさんが多いから
心配でAさんを探してたんです」
『ふっ、やっぱり君はヒーローだね』
樹「クィーンを守るのはナイトの仕事ですから」
この言葉に俺らは笑い合ってみんなの輪に戻る。
少し離れてて気づいた。
本当に何も無くてよかったって。
海青「Aさん!すぐ消えるのやめて!
いつも言うてるやん!」
『ごめんごめん。
心配かけちゃったね』
海青「そんな軽いもんちゃうよ!?」
まぁ海青に説教されてる姿が面白かったから
個人的には許してあげるけど、
説教からは助けてやんない。
もっと怒られろ。
って思ってたら背中を叩かれた。
彰吾「ってなわけで、俺とお話しようか、藤原樹くん」
樹「こーっわっ」
Aさんに関わるとなぜか俺らまで怒られるのは、
一体どうしてだろうかと考える今日この頃。
背筋が寒いのは山彰さんの殺気のせいじゃない。
きっと気温のせいだ。
心にそう言い聞かせて俺はAさんを心の中で恨んだ。
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snow0224(プロフ) - 初めまして、いつも楽しく読ませていただいてます(^^) 全然関係ないのですが作者様と全く同じ名前、同じ漢字で焦りました笑(作者よりのページで気づきました笑)ホントなんの事や〜って話なんですが嬉しくてコメントさせてもらいました^^ (3月13日 0時) (レス) @page21 id: 5c65d1e7b4 (このIDを非表示/違反報告)
美紀(プロフ) - 移行おめでとうですコロナとか温度差で体調に気をつけましょう (3月12日 12時) (レス) id: fa15550fa1 (このIDを非表示/違反報告)
雪乃(プロフ) - kuroさん» 初めまして、閲覧、リクエストありがとうございます!何かと出かけたい気持ちを前面に出してるりっくんと二人の旅行!楽しみです!順番に公開していくので少々お待ちください🙇♀️ (2月29日 10時) (レス) id: d93f4d8728 (このIDを非表示/違反報告)
kuro(プロフ) - はじめまして いつも楽しみにして読んでます さっそくリクエストですが りっくんと 旅行する でお願いします🙇♀️ (2月29日 7時) (レス) id: 2769407402 (このIDを非表示/違反報告)
雪乃(プロフ) - ボボキツネさん» 再びリクありがとうございます!次々消化していくので少々お待ちください! (2月28日 0時) (レス) id: d93f4d8728 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪乃 | 作成日時:2024年2月17日 11時