41.自覚を持て ページ41
辿り着いた部屋は、旅館の宴会部屋くらいの広さだった。ただ旅館と決定的に違うのが、大理石の壁と床、ロビーよりも一層華美になったシャンデリアがあるということ。
イルミさんは一目見るだけで高級と分かる照明の光を反射させる椅子に、堂々と腰掛け、それにヒソカさんも続く。
対して私は棒立ちだ。
いつの間にかホテルマンは退室しており、部屋には私たち３人だけだった。
｢何してんの？早く座りなよ｣
｢え。いや、私みたいな奴が座っていいものじゃないと思うので……｣
｢は？椅子は座るためにあるんだよ。座らなかったら意味ないじゃん｣
｢ごもっともです｣
イルミさんが、機嫌を損ねている、とあからさまにアピールしてきたので渋々椅子に座る。艶やかな表面は今にも鏡のように自分の姿を映し出せそうだった。
いざ座ってしまえば今までの不安なんてどこかへ吹き飛んでしまい、私はずっと気になっていたことを聞くことが出来た。
｢あの、なんで密会をするための部屋に来たんですか？私、食事をするって聞いてたんですけど……｣
｢食事もするよ。話が終わってからね｣
｢話？｣
そんな大事な話に参加する心当たりが、まるでない私は、キョトンと小首をかしげる。そんな様子の私にイルミさんはハア……と呆れたため息をついた。
｢キミのことだよ。元の世界に帰るんじゃなかったの？｣
｢……ああ！｣
トレーニングに打ち込みすぎて、すっかり忘れていた。
寂しさの心の穴は、ヒソカさんが埋めてくれていたので、何不自由なく呑気に暮らしていた。
そもそも、トレーニングをしているのも、元の世界に帰るための下準備じゃないか。
……私、だいぶこの世界に馴染んでる。馴染みすぎてる。もっと危機感を持たなきゃ。
｢いい加減トレーニングばかりじゃなくて、帰る方法を探したほうがいいと思うんだよね。だってキミ、イレギュラーなわけだし｣
｢……そう、ですね｣
ぐさり。
イルミさんの言葉が胸に刺さった。
イレギュラー。
……そうだ、私はここに居ちゃいけないんだ。ヒソカさんとの生活が楽しくて、忘れていた。……一番忘れちゃいけない、大事なことなのに。
そう。いずれ、別れる時がやってくる。
『出会いがあれば、別れもある』
誰かが言っていたその言葉が、やけに胸に響いた。
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食塩水(プロフ) - ななしさん» コメントありがとうございます！自分ではそう思わなかったので、そこまで気が回りませんでした……私としても、気持ちよく小説を読んでいただきたいので、すぐにCSSを変更します。不快にさせてしまいすみませんでした。変更したら読んで頂けると嬉しいです (2018年1月6日 23時) (
レス) id: d361a295b4 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 面白そうで読もうとしていますがもじの全てに影が付いていて読みにくいのが気になります…。とても可愛いのですがちかちかして読みにくいです。自分で変更できるのでしょうか？ (2018年1月6日 22時) (レス) id: 85f7b49207 (このIDを非表示/違反報告)
食塩水(プロフ) - アメーバさん» コメントありがとうございます！ヒソカは原作でもかなりの戦闘狂なのに、作品内では戦闘シーンが今のところないのでヒソカらしいという言葉は本当に嬉しいです！何度も読み返してくださるなんて、作者冥利に尽きます…！感謝感激です！今後とも是非宜しくお願いします！ (2017年7月10日 17時) (レス) id: bc8e11eab3 (このIDを非表示/違反報告)
アメーバ(プロフ) - こんにちは！食塩水さんが作っているこの作品すごく好きです！ヒソカの良さ？みたいなのをうまく出せていてすごく面白いし、好きすぎて何度もこの作品を読んでしまいます！色々あるかも知れませんが、更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2017年7月9日 16時) (レス) id: 4bb4781fa9 (このIDを非表示/違反報告)
食塩水(プロフ) - あおさん» うわあああ！？ありがとうございます！そう言って頂けて嬉しい限りです……！最近何かと多忙なため、更新速度は今まで以上に落ちてしまいますが、精一杯執筆していきます！コメントありがとうございました！ (2017年7月3日 15時) (レス) id: bc8e11eab3 (このIDを非表示/違反報告)
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