カズの隣で…。☆kazunari ninomiya☆【Part1】 (ページ3)

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♯3 私は空気ページ3

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「行ってきます。」

外に出ると、さっきベランダに出た時より少し冷たい風が私の頬をなでた。

２０階建てのマンションの私の家は１７階。

いつものようにエレベーターを待つ。

結構な高層マンションのくせにエレベーターは一つしかないから、

いつも２、３分は待たなくちゃいけない。

１３…１４……１５……エレベーターが段々近づいてくる。

１６階を通り過ぎた時、

エレベーターの中に人の頭らしきものが見えた。

こんな早い時間に乗る人はあまりいないだろうし、こんな上まで来る人も少ない。

一瞬驚いて、

その人の顔が目に映った瞬間、私の胸が微かに振動を速めたのが分かった。

でもそれは『嬉しい』とか、『ときめき』とか、

そういうのとは全然違ってて…

自分でもよく分からないけど、胸の奥がうずめくような…

そんな感覚。

．

エレベーターに乗って来た人は、

髪はボサボサで制服もクシャクシャで

ネクタイも曲がってて、

とにかくだらしない。

それでものすっごく眠そう…

．

エレベーターが開くと

「ふわぁぁぁ…」って大きく開く口に手を当てることもせずに

ダルそうに出てくる。

私の事をちらりとも見ないで……

「………おはよう。」

シンとした１７階に私の声だけが響いた。

・・・・・何言ってるんだろう私……

どうせ返っても来ないのに……。

予想通り、

その人は私の事なんか見えてないみたいに

スッと私の横を通り過ぎ、

私の家の隣りに入っていった。

「はぁー………バカみたい…………」

そこに何もいないかのように私の前を通り過ぎたアイツ。

いつからだっけ・・・こんな風に、お互い目も合わせなくなったのは……。

でもそんな事…アイツにとったらどうでもいい事なんだろうな...

考えるだけ無駄・・・・・。

自分の言葉に自分で傷付きながら

心の中の雨雲が、また増えたのを感じた。

挨拶くらいしてもいいじゃん……

っていうか人として当然の事だし…

…………せっかく

・・・・・・久しぶりに会えたのに……。

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