137話 引っ張り上げてくれ ページ42
八百万side
シュレッダーに童話さんのお兄様を罵られ、私はふつふつと怒りが溜まりました。
童話さん、泣いておられます。
あんなに悔しそうに、恨めしそうに泣く童話さんは初めて見ました。
私は心が痛くて、こちらまで泣きそうです。
｢だから、全力で!!ぶつかりに来たよ!!｣
緑谷さんの必死の叫びがこだましました。
そう、私も何かしなければ。
今その約束を果たす時なのです！
｢童話さん！｣
声を荒らげると、童話さんの瞳が揺れました。
｢呑み込まれてはダメです！童話さんはとても強いのですから！文武両道、あなたにピッタリの言葉ですわ！そんな童話さんが、たかがヴィランの一言で揺れてはいけません！私と同じく、ヒーローを目指している者でしょう!?｣
｢……俺に…ヒーローになる資格なんて…ッ｣
｢ありますわ!!いつだってあなたは救けるために先陣を切って戦っていました！私知ってますの！雄英体育祭の時、後方への怪我の被害が少なくなるよう努められていたのを！あなたは根っからのヒーローなんです！｣
｢……っ｣
お願いです、童話さん。
瞳に光を、灯してください。
｢私は徐々に自分に自信が無くなってきても、あなたは真っ直ぐに前を見つめていました！私、その姿に心を打たれましたの！だからどうか、諦めないで！自分に絶望しないで下さい！｣
童話さん、約束です。
｢童話さん、あなたを!!引っ張り上げに来ました!!｣
童話さんに。
届け、この想い。
────『俺が自分に絶望してたら引っ張り上げてくれ』
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作者名：roronoa | 作成日時：2019年4月14日 14時
