133話 殴ってでも俺を止めてくれ ページ38
飯田side
童話くんが完全に我を忘れている。
彼の兄さんのことをバカにされ、罵られ、しまいには愚弄され、童話くんは怒っている。
どうやら怒りの頂点に達したようで、見たこともない形相でシュレッダーに近づいて行った。
どうする、どうする俺！
このままでは童話くんは俺と同じになってしまう。
兄がやられ復讐しか脳が無かった俺と、愚かな俺と同じになってしまう。
だが動けば相澤先生がシュレッダーにやられるかもしれない。
最優先はなんだ、考えろ飯田天哉！
────『殴ってでも俺を止めてくれ』
………そうだよな。
違うだろ、飯田天哉。
迷っている時間なんかない。
シュレッダー、見逃してくれよ。
俺はお前に攻撃を仕掛けたわけじゃない、童話くんを止めるために動いたんだ。
だから、相澤先生は殺さないでくれ。
｢童話くん!!｣
｢童話!!｣
俺は童話くんを右ストレートで殴っていた。
俺は隣を見て驚いた。
切島くんが童話くんの腹部をホールドしてるじゃないか。
俺達は童話くんを抱えながら床に突っ伏した。
｢何すんッ…！｣
｢お前が言ったんだぞ!!望まねぇ形で攻撃しそうになったら止めてくれって!!｣
｢君が言ったんだ！道を間違ったら殴ってでも止めてくれと!!俺達は、約束を遂行したんだ!!｣
｢……！…ありがとう…俺は…｣
｢チッ…やっと面白くなったと思ったのに…よくも邪魔してくれたな、ガキども!!動くなと言ったはずだが？それともイレイザーヘッドを見捨てるか？｣
｢別にお前に攻撃した訳じゃねぇだろ!!｣
｢だが実に不愉快だ！面白くない｣
｢童話くんはお前の快楽のために戦ってるんじゃないんだ!!｣
｢あんな言葉の一言二言で兄貴の約束を破るようなやつだが？｣
｢ッ…！｣
｢違う！俺だって兄をバカにされれば怒るさ！だから童話くん！アイツの言葉に耳を貸すな！｣
童話くん、耐えてくれ。
君の兄さんの為にも、エリちゃんの為にも。
｢(童話に…)｣
童話くんに。
｢｢(届け、この想い)｣｣
────『殴ってでも止めてくれ』
────『望まない形で攻撃しそうになったら止めてくれ』
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作者名：roronoa | 作成日時：2019年4月14日 14時
