127話 なるべく早く ページ32
相澤side
ヒーロー実習三日目。
前日までの2日間を通して何も異常はなし。
スパイダーさん達の推測が正しければ今日、シュレッダーが俺もしくは童話を襲ってくる。
それが外れれば別のヒーロー。
俺はスパイダーさんのサイドキックである2人を引き連れて、パトロールに参加した。
ここまで異常なし。今日も何も起きなさそうだなと思っていた昼過ぎ。
俺はとあるビルの屋上からただならぬ気配を感じ、サイドキック2人も一緒にそこへ向かった。
そこに居たのは、陰湿で今にも人を殺しそうな顔をしているヴィランと思しき人物だった。
｢……シュレッダー…!!｣
｢ヒヒ…イレイザーヘッド…｣
初めて見た。
今まで遭遇したヒーローが全員死んでる事から、容姿などの情報は唯一の生き残りである童話からしか聞いた事がなかった。
ステイン？
あんなもの、かわいく見えてしまうだろう。
今飯田がこいつの姿を見ればステインの存在など霞んで見えてしまうかもしれない。
俺はすぐさま戦闘態勢に入ったが、爆風とともにサイドキック2人が俺の両隣からいなくなっていた。
思考回路を進めるのに少し時間がかかった。
そして分かった。
いなくなったんじゃない。
吹き飛ばされたんだ。
ああ、俺死んだな。
そう思うのに時間はいらなかった。
｢今日お前から出向いてくれて嬉しいよイレイザーヘッド…林間合宿では殺せなかったからなぁ…｣
｢ウチの生徒によくも手を出してくれたな｣
｢殺さなかっただけ有難いと思えよ…あの時は気分がだだ下がりでなァ、だが今日は調子がいい。お前程度ならすぐ殺せそうだ｣
嫌だな。死ぬのは怖い。
この1年、生徒のために命を張ることは何度もあっただろうが、今日ほど恐怖を覚えた日はない。
アンタの推測通りです、スパイダーさん。
なるべく早く応援に来てください。
その願いを込めて、俺は童話の携帯に位置情報のメールを送った。
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作者名：roronoa | 作成日時：2019年4月14日 14時
