119話 見てるぞ！！！ ページ24
洸太くんとプッシーキャッツ達が帰った次の日。
俺は伸也さんと電話で話していた。
『それで…へぇ。そのエリちゃんって子、絶対今幸せだろうな』
｢そうかな｣
『ああ。インターンに参加出来なくて申し訳ないくらいだ』
｢伸也さん、忙しかったじゃん｣
『それはそうだが…あ、昨日のビルボードチャート見たか？』
｢見たよ。伸也さん、大変だったでしょ。ホークス凄かったし｣
『でもあの後のスパイダーさんのおかげで空気が戻ったよ。やはり素晴らしいな、あの人は』
｢なんたってスパイダーだからね｣
『ふ…俺は王子のようなやつがヒーローを目指してくれていて嬉しいよ。生糸の言った通りだ。王子はヒーローに向いてる』
｢…なんか、照れるな｣
伸也さんとの電話を切って、共有スペースへ行くと緑谷達がテレビに釘付けになっていた。
そこには、エンデヴァーとホークスが映っている。
次の瞬間、エンデヴァーはヴィランの手によって瓦礫の上に倒された。
｢焦凍…!!｣
｢っ…！｣
テレビでは街の人達も中継される。
｢パニックだ…マズいぞ｣
テレビの中継アナウンサーは｢象徴の不在｣と揶揄するが、俺には納得いかなかった。
｢ふざけんな…｣
｢焦凍…｣
すると、テレビからひとつの声が聞こえた。
『適当な事言うなや!!どこ見て喋りよっとやテレビ！あれ見ろや！エンデヴァー生きて戦っとるやろうが！おらんもんの尾っぽ引いて勝手に絶望すんなや！今俺らの為に体張っとる男は誰や!!見ろや!!』
恐らくエンデヴァーファンの1人…一般市民だけどすごくカッコよかった。
｢───親父…っ見てるぞ！！！｣
エンデヴァーは爆炎の中街中の道路に落ちていった。
煙が晴れて姿が確認できると、そこには右手を上げたエンデヴァーが立っていた。
｢ふぅ……｣
｢お疲れさん、焦凍、エンデヴァー｣
｢ああ…ホントに疲れた…クソ親父…｣
すると、荼毘が突然現れた。
もう動けないであろうエンデヴァーを見て俺は血相を変えたが、荼毘はまた消えてしまった。
一件落着。なのか。
焦凍は明日、外出許可を貰ってエンデヴァーを労いに行くそうだ。
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作者名：roronoa | 作成日時：2019年4月14日 14時
