検索窓
今日:89 hit、昨日:171 hit、合計:1,576,808 hit

6.綺麗なプレー。 ページ6

「あーあ、Aは体育館入れていいなあー、俺も早く入れてもらいたい」


自業自得でしょ、と翔陽に苦笑いを向ける。

「入れてもらうためにこうやって練習してんだろ」

「そうだけどー」

ぶーっと唇を尖らせる翔陽。

そして、「あ!」と声をあげた。


「なあなあA、お前って先輩たちのプレーも見てんだよな!?」

「うん、潔子さんと一緒にずっと見てるよ」

「じゃあじゃあやっぱり皆上手いんだよな?」


今日の早朝練では少ししか見れなかったしーっと翔陽は再びひねくれる。


そういえば、早朝練習を大地先輩に隠れてしたんだっけ。
田中先輩が言っていたのを思い出した。


「うん、私は素人だから細かいことまではわからないけど、皆のプレーを見てるとすごいんだなってことだけはわかるよ」

「へー!」


頭の中に、先輩たちのプレーを浮かばせる。

田中先輩はスパイクにすごく力があって、活気も溢れている。

大地先輩はレシーブが特にすごくて、皆のことをまとめている。


それから――――


「……私は、スガさんのプレーが一番綺麗だと思ったかなあ……」


ポツリと無意識に呟いた言葉。

あっと思って二人を見ると、きょとんとした顔をしていた。

「スガさんって、菅原さんのこと?」

「あ、うん」

「確かに、菅原さん、俺に合わせてレシーブ練習も付き合ってくれるし……」

と言った翔陽は、チラッと飛雄を見る。

「なんだよ!」

「そうだよなあー、菅原さん優しいし、俺らのこともちゃんと見てくれるし」


翔陽の言葉に、私は頷いていた。


「そうなの、スガさんってセッター?っていうポジションだっけ?まだ少ししか練習見てなくても、スガさんは周りの人たちの調子とかプレーの仕方とかをちゃんと理解してボールを上げてるの」

周りの人たちへの声掛けや、それから裏表のないあの笑顔。


「だからね、スガさんのプレーが一番綺麗だなって、思って…………あ」


また無意識に語り出していた自分に後悔する。

翔陽はポカーンとしているけど、飛雄は「セッター……」とぶつぶつ呟いている。


「Aって、スガさんのことよく見てるのな!」

「え!?」

翔陽が何気なく言った台詞に、私の肩は大袈裟に揺れる。

「だって見てないとそんなふうにわからないと思うし。なあ、影山」

「ああ、まあそうだな」

翔陽と飛雄は、きっとなんとなく言っているだけなのだろう。

7.二人の一年生。→←5.翔陽と飛雄。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2169 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2016人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

夏斗 - 初コメ失礼します! とにかく始めにお礼を言わせてください! こんな素敵な作品を書いて下さりありがとうございます!! スガさんの小説少なくないですか!? 数少ないスガさんの作品がこんな甘々なんて最高ですよ!! キュンキュンさせて頂きありがとうございました!! (3月10日 0時) (レス) @page48 id: 73bfbf52f2 (このIDを非表示/違反報告)
zgdj - もうキュンキュン超えてギュンギュンしました!笑最高の作品をありがとうございます!🤍 (3月2日 19時) (レス) @page48 id: 9d014a95bc (このIDを非表示/違反報告)
ぴざまん - あまずっぺえ…良い… (8月11日 19時) (レス) id: 12362f5741 (このIDを非表示/違反報告)
らぅ - 37〜40の一連の想いに涙が止まりませんでした😭 (2022年9月28日 10時) (レス) @page38 id: 0e8ab4d39d (このIDを非表示/違反報告)
れむ。(プロフ) - 素敵な夢小説ですめちゃ好きです…😿♡ もっと早く出会っていればよかったなんて後悔してます😵‍💫 (2022年7月29日 23時) (レス) id: 31e76c62e3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:蒼空 | 作成日時:2014年5月19日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。