6.綺麗なプレー。 ページ6
「あーあ、Aは体育館入れていいなあー、俺も早く入れてもらいたい」
自業自得でしょ、と翔陽に苦笑いを向ける。
「入れてもらうためにこうやって練習してんだろ」
「そうだけどー」
ぶーっと唇を尖らせる翔陽。
そして、「あ!」と声をあげた。
「なあなあA、お前って先輩たちのプレーも見てんだよな!?」
「うん、潔子さんと一緒にずっと見てるよ」
「じゃあじゃあやっぱり皆上手いんだよな?」
今日の早朝練では少ししか見れなかったしーっと翔陽は再びひねくれる。
そういえば、早朝練習を大地先輩に隠れてしたんだっけ。
田中先輩が言っていたのを思い出した。
「うん、私は素人だから細かいことまではわからないけど、皆のプレーを見てるとすごいんだなってことだけはわかるよ」
「へー!」
頭の中に、先輩たちのプレーを浮かばせる。
田中先輩はスパイクにすごく力があって、活気も溢れている。
大地先輩はレシーブが特にすごくて、皆のことをまとめている。
それから――――
「……私は、スガさんのプレーが一番綺麗だと思ったかなあ……」
ポツリと無意識に呟いた言葉。
あっと思って二人を見ると、きょとんとした顔をしていた。
「スガさんって、菅原さんのこと?」
「あ、うん」
「確かに、菅原さん、俺に合わせてレシーブ練習も付き合ってくれるし……」
と言った翔陽は、チラッと飛雄を見る。
「なんだよ!」
「そうだよなあー、菅原さん優しいし、俺らのこともちゃんと見てくれるし」
翔陽の言葉に、私は頷いていた。
「そうなの、スガさんってセッター?っていうポジションだっけ?まだ少ししか練習見てなくても、スガさんは周りの人たちの調子とかプレーの仕方とかをちゃんと理解してボールを上げてるの」
周りの人たちへの声掛けや、それから裏表のないあの笑顔。
「だからね、スガさんのプレーが一番綺麗だなって、思って…………あ」
また無意識に語り出していた自分に後悔する。
翔陽はポカーンとしているけど、飛雄は「セッター……」とぶつぶつ呟いている。
「Aって、スガさんのことよく見てるのな!」
「え!?」
翔陽が何気なく言った台詞に、私の肩は大袈裟に揺れる。
「だって見てないとそんなふうにわからないと思うし。なあ、影山」
「ああ、まあそうだな」
翔陽と飛雄は、きっとなんとなく言っているだけなのだろう。
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夏斗 - 初コメ失礼します! とにかく始めにお礼を言わせてください! こんな素敵な作品を書いて下さりありがとうございます!! スガさんの小説少なくないですか!? 数少ないスガさんの作品がこんな甘々なんて最高ですよ!! キュンキュンさせて頂きありがとうございました!! (3月10日 0時) (レス) @page48 id: 73bfbf52f2 (このIDを非表示/違反報告)
zgdj - もうキュンキュン超えてギュンギュンしました!笑最高の作品をありがとうございます!🤍 (3月2日 19時) (レス) @page48 id: 9d014a95bc (このIDを非表示/違反報告)
ぴざまん - あまずっぺえ…良い… (8月11日 19時) (レス) id: 12362f5741 (このIDを非表示/違反報告)
らぅ - 37〜40の一連の想いに涙が止まりませんでした😭 (2022年9月28日 10時) (レス) @page38 id: 0e8ab4d39d (このIDを非表示/違反報告)
れむ。(プロフ) - 素敵な夢小説ですめちゃ好きです…😿♡ もっと早く出会っていればよかったなんて後悔してます😵💫 (2022年7月29日 23時) (レス) id: 31e76c62e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼空 | 作成日時:2014年5月19日 23時